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大田泰示(日本ハム)だけじゃない。近鉄のいてまえ打線を担った吉岡雄二ら巨人を出て活躍した選手たち

大田泰示(日本ハム)だけじゃない。近鉄のいてまえ打線を担った吉岡雄二ら巨人を出て活躍した選手たち

 大田泰示(日本ハム)の奮闘が続いている。開幕こそはケガの影響で出遅れたものの、4月下旬からは右翼、もしくは指名打者でスタメン出場。特に6月は月間打率が3割を超え、尻上がりに調子を上げている。

 なかでも古巣・巨人との対戦となった6月9日から11日にかけての3連戦では、2戦目に先頭打者本塁打、3戦目も7回にソロと2本塁打。3試合で10打数7安打と打ちまくり、成長した姿を見せつけた。


 大田のように、過去には巨人では実力を存分に発揮できず、新天地で一気に才能を開花させた選手たちがいた。そんな選手たちをあらためて振り返ってみたい。

南海、広島で活躍した松原明夫


 巨人・V9時代真っ只中の1968年、松原明夫(後に福士明夫、福士敬章)はドラフト外で巨人に入団。入団2年目で1軍初登板を果たすも白星には恵まれず、巨人在籍4年間で0勝に終わる。そんな松原の運命が変わったのは1973年の南海への交換トレードだった。

 先発投手が欲しい南海と、力が衰えた長嶋茂雄をバックアップする三塁手が欲しい巨人の思惑が一致し、松原は山内新一とともに、富田勝との2対1のトレードで南海に移籍した。

 南海初年度の1973年、松原は先発ローテーションに入り7勝、山内は20勝とリーグ優勝に大きく貢献した。その後も松原は1975年に11勝を挙げ、プロ入り初の2ケタ勝利を記録。野村克也監督の下で活躍する。

 1977年に広島へ移籍すると、移籍2年目の1978年に自己最多の15勝、1980年にも再び15勝をマーク。1979年、1980年の日本シリーズ連覇では先発の一角を担った。

 韓国籍だったこともあり、1983年からは創設間もない韓国プロ野球でプレー。同年にはシーズン30勝という未だ破られていないシーズン最多勝記録を樹立した。

ロッテに移籍し打率3割をマークした山本功児


 本田技研鈴鹿から1975年のドラフト5位で巨人に入団した山本功児。本職は一塁だったが、当時の巨人の一塁は王貞治が不動のレギュラーだったため、外野手で出場機会を増やしていった。

 プロ4年目の1979年には117試合に出場し打率.291と活躍。王が引退した後の1981年にはシーズン序盤に一塁のレギュラーに定着したものの、6月にケガで戦線離脱していた中畑清が一塁にコンバート。再び外野での出場がメインとなった。

 1983年に駒田徳広、吉村禎章と若い左打者が台頭したこともあって、1984年にトレードでロッテへ移籍することとなった。

 ロッテで迎えた阪急との開幕戦、山本は「3番・一塁」でスタメン出場し、レロン・リー、落合博満とクリーンアップを形成した。終わってみれば、ロッテ初年度の1984年は自己最多の125試合に出場。初の規定打席到達を果たし、打率.301と初の打率3割をマーク。充実したシーズンとなった。

 1985年には2年連続打率3割とはならなかったが、打率.293。1988年限りで現役引退した後もコーチ、監督としてロッテに在籍した。


「いてまえ打線」の一角担った吉岡雄二


 1989年、帝京高時代の3年夏にエースとして甲子園優勝を果たした吉岡雄二。同年のドラフト3位で巨人に入団。入団3年目のオフに野手へ転向した。

 1995年のシーズン後半からは三塁に定着し、松井秀喜とともに将来の巨人を担う選手として将来を嘱望された。しかし1996年、新外国人選手、ジェフ・マントの加入や大型ルーキー・仁志敏久の入団でレギュラーを奪えず。1997に近鉄へトレードで移籍となった。

 移籍1年目の1997年はわずか22試合の出場に終わったが、1998年には前年に一塁を守ったクラークが指名打者となったことで、一塁に定着。81試合と出場機会が一気に増え、プロ入り初の2ケタ本塁打となる13本塁打を放った。

 2000年にはシーズン途中から5番に座り打率.290、18本塁打。2001年には自己最多の26本塁打で「いてまえ打線」の一角を担い、同年のリーグ優勝に貢献する。

 近鉄消滅後は楽天に移籍。打線の中軸を任され、創設間もないチームを支えた。


文=武山智史(たけやま・さとし)

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