今春のセンバツを制した智辯学園が、大会1日目の第2試合に登場。島根代表の出雲を6対1で破って、まずは初戦をクリアした。
試合では、智辯学園の長所がしっかりと出た。
攻撃面では、2回に3番の太田英毅が先制2ランをバックスクリーンの左に放り込めば、4回には4番の福元悠真もライト前にタイムリーと中軸が機能し、さらに6回にはスクイズで追加点。13安打に強打に加えて、奈良大会から一度もバント失敗がないという小技の上手さも発揮した。
投げては、エースの村上頌樹が5安打1失点で無四球完投という好内容。140キロ台中盤のストレートに、チェンジアップを効果的に使って出雲打線を封じた。
センバツでは、決勝で高松商を延長の末に下し、学校創立50周年の節目の年を飾った智辯学園。この夏は、甲子園春夏連覇へ挑む唯一の存在となるが、過去にこの偉業を達成したのは以下の7校しかいない。
1962年 作新学院(栃木)
1966年 中京商(愛知、現・中京大中京)
1979年 箕島(和歌山)
1987年 PL学園(大阪)
1998年 横浜(神奈川)
2010年 興南(沖縄)
2012年 大阪桐蔭(大阪)
最後の連覇は4年前。エースの藤浪晋太郎(阪神)と森友哉(西武)のバッテリーが活躍した、2012年の大阪桐蔭の強さが印象に残っているファンも多いはずだ。
連覇を目指すには、当然ながらセンバツでの優勝が第一段階。ただ、それ以上に簡単ではないのが夏の地方大会だ。春の王者といえども、負ければ終わり。あらためてひとつずつ勝ち抜いて、夏の甲子園の出場資格を得る必要がある。
智辯学園も、もちろんそれを成し遂げての代表だが、奈良大会では5試合すべてが逆転勝ちで、しかもそのうち3試合が1点差という激戦続きだった。
永遠のライバルともいえる天理との決勝では、6対2とリードして迎えた9回表に3点を奪われ、なお2死一、三塁というところまで攻め込まれながら、なんとか振り切っている。
エースの村上は、センバツでの全5試合で完投勝利を記録するなど安定感は抜群。奈良大会でも、疲労の蓄積のよる右ヒジの痛みで他投手に先発を譲った試合はあったが、リリーフとして登板するなど、マウンドに立ち続けている。
今大会は、寺島成輝の履正社(大阪)、藤平尚真の横浜(神奈川)と、プロ注目の好投手を擁する両校が注目を集め、智辯学園への注目度はそこまで高くない感はある。とはいえ、投打のバランスが取れたチーム力は春に証明済みだ。
春の王者がどんな戦いぶりを見せてくれるのか、注目したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)