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世代交代の波に乗れ! 今度こそブレイクの予感! 中日・高橋周平&堂上直倫それぞれの進化に迫る

 世代交代を叫ばれて久しい中日。とくに野手は10年近く同じような顔ぶれで、2010年、2011年のセ・リーグ連覇など結果を残してきたとはいえ、どこか閉塞感のようなものを感じた。ただ、若手にチャンスがなかったわけではなく、殻を破れない姿にもどかしさを覚えた人も多いのではないだろうか。

 昨季限りで一時代を築いた多くのベテラン選手が引退し、中日の若手にとってアピールする大きなチャンスだが、それをつかもうとしている選手たちがいる。

プロ初本塁打は高卒ルーキー最年少記録


 2011年のドラフト1位・高橋周平は、ルーキーイヤーの2012年から1軍での出場機会を得た。18歳4カ月でのプロ初本塁打は、ドラフト制以降の高卒ルーキーでは最年少記録だった。早々に1軍に定着するかと思われたが、2年目の66試合212打席が最多出場と、力を発揮できずにいた。

 大学野球を経験した同級生がプロの世界に入ってきた今季、5年目を迎えた高橋はベテラン森野将彦とのポジション争いに勝ち、初めて開幕スタメンの座を手にした。7番サードで開幕を迎え、4月5日のDeNA戦からは3番に座っている。

 3月31日の広島戦で逆転満塁本塁打を放つなど、ここまで打率.303、2本塁打、12打点。チームトップの7本の二塁打を記録している。

 昨季までの高橋は、カウントをとりにくる球を見逃すことが多かったように感じる。今季は積極的に振っているように見えるが、データではそこまで積極的な結果は出ていない。


ストライクをとりにくる球を確実に捉える技術


 ボールカウント別の打数を見ると、昨季は154打数中42打数がノーストライクのカウントで打ったものだった。割合でいえば27.3%。今季は24日現在、89打数中17打数がノーストライクのカウントで打ったものだ。割合は19.1%と昨季より低い。 ただ、昨季はノーストライクのカウントで42打数13安打、打率.310だったが、今季は17打数8安打、打率.471と高打率を残している。初球では昨季22打数5安打、打率.227だったが、今季は7打数4安打、打率.571。積極性という点では昨季より劣るが、今季はストライクをとりにくる球をより確実に捉えている。

 ボールカウントでは積極性を感じられなかったが、視点を変えると高橋の新たな姿を見ることができる。ここまで高橋はリーグ最多の23三振を喫しているが、そのうち見逃し三振が5個、空振り三振は18個。三振のうち見逃し三振が占める割合は22%。昨季は42三振のうち見逃し三振が15個あり、割合は36%。振りにいっての三振が今季は増えている。

 三振はいただけないが、振らなければ何も起こらない。昨季までは、どこか構えてしまっているようにも見えた高橋に、積極性を感じるのはそういった点ではないだろうか。

守備は一級品! 打撃面でも新たな進化が!


 ようやく出てきたという意味では高橋以上なのが、堂上直倫だ(写真は背番号1時代)。

 2006年高校生ドラフト1巡目で中日、阪神、巨人が競合し、抽選で中日が交渉権を獲得した。その時の巨人の外れ1位が坂本勇人でプロ入り後に何かと比較されることも多い。4年目の2010年、井端弘和の離脱を受け、主に二塁手として82試合に出場した。しかし、その後は2012年に116試合に出場したが、昨季まで規定打席に達したシーズンは一度もなかった。シーズンの打率も2010年の.263が最高で、昨季は38打数6安打、打率.158と自己最低の成績に終わった。

 打撃では物足りない結果が続いた堂上だが、守備は一級品だ。守備範囲は特別広いわけではないが、グラブさばきや送球の安定感はチームのみならず12球団でもトップクラスだろう。

 今季は開幕スタメンこそ逃したが、ショートの遠藤一星が守備面で不安をのぞかせ、4月3日のヤクルト戦からは堂上がスタメンショートに入った。その後、2試合を除いて堂上がスタメン出場し、内野守備の安定感も増した。堂上がスタメンの試合は7勝4敗2分とチーム状態も上向いている。

 課題の打撃もここまで51打数14安打、打率.275。二塁打が2本と長打が少ないのは気になるが、スタメン出場した13試合でノーヒットに終わったのは3試合だけ。2試合連続ノーヒットがまだない。昨季まではスランプに陥ると、脱するまで時間がかかったものの、今季はそういった様子も見られないことはプラスだ。

 昨季、各球団のショートとして最多出場した選手の中で最高打率は鳥谷敬(阪神)の.281。最多本塁打は坂本勇人(巨人)の12本。12球団の平均打率は.254、本塁打数の平均は6.5本。守備面での貢献度が高い堂上は、この平均を超えられるかどうかがスタメン定着の目安となるのではないか。

 開幕前の予想に反し、2位につけている中日。ようやく出てきた高橋と堂上がどれだけチームに刺激を与えられるか。今季もBクラスとなれば球団史上ワーストだが、それを打ち破るかどうかは2人にかかっている。


文=京都純典(みやこ・すみのり)
1977年、愛知県出身。出版社を経て独立。主に野球のデータに関する取材・執筆を進めている。『アマチュア野球』(日刊スポーツ出版社)、『野球太郎』(廣済堂)などに寄稿。1軍はもちろん、2軍の成績もチェックし、分析している。

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