40代の男性が本厄を迎える年齢は数え年で42歳(1976年生まれ)。元プロ野球選手では里崎智也(元ロッテ)、サブロー(元ロッテほか)、二岡智宏(元巨人)、城島健司(元阪神ほか)、赤星憲広(元阪神)らが名を連ねるが、この世代で唯一現役を続けているのが相川亮二(巨人)だ。
1994年のドラフト5位で横浜(現DeNA)に入団。ヤクルトを経て、今季でプロ生活23年目となる。年々出場機会が減っているとはいえ、今なお現役なのだから恐れ入る。
相川は今季も、正捕手に挑む小林誠司と、阿部慎之助の一塁専念により手薄になった捕手陣のサポートを担う。本厄の年はなにかと体調を崩しやすいが、そもそも相川はケガが多い選手でもある。チームを底支えするために、今季は一層、万全な体調ケアを心がけてほしい。
厄年には本厄のほか、本厄の前年に前厄、本厄の翌年に後厄が訪れる。その3年間のうち、本厄に次いで悪い年になると言われるのが前厄。「これから本厄が訪れる」とばかり、本厄に片足を突っ込んでいるような状態だ。
今季、前厄にあたるのは「数え年で41歳(1977年生まれ)」の選手たち。該当選手には、新井貴浩(広島)、福留孝介(阪神)、荒木雅博(中日)の名前が挙がる。
そこで、それぞれの昨季の成績、つまり40代の前厄が訪れる直前のプレーぶりを見てみよう。
■新井貴浩
通算2000安打を達成。101打点を挙げ、広島の25年ぶりとなるリーグ優勝に貢献。
■福留孝介
打率.311に2年連続2ケタ本塁打を放って打線を牽引。
■荒木雅博
高木守道氏のチーム盗塁記録(369個)を抜く370盗塁を達成。
いずれも「年齢など関係ない」と言わんばかりの結果を残している。今季も好調を維持してチームの要となってくれそうだ。それだけに、前厄に入ることで何か悪い兆しが出てこないといいのだが……。前厄が彼らのプレーにどう影響するのか非常に興味深い。
後厄は前厄とは反対に、厄が離れていく年を指す。今季、後厄を迎えるのは「数え年で43歳(1975年生まれ)の選手」で、松井稼頭央(楽天)、福浦和也(ロッテ)が当てはまる。2人とも昨季は本厄の災いに見舞われてしまった。
松井は昨季、打率.213でシーズン終了というかつてない打撃不振に陥ったこともあり、ルーキーイヤー以来の2ケタ試合出場(56試合)に留まった(メジャーリーグ時代は除く)。
しかし、昨季が本厄だったことを考えると、そのトンネルを抜けた今季は、ファンにまた元気な姿を見せてくれるはず。後厄の1年を「本厄を乗り切って迎えた復調の年」にしたい。
プロ入り以来ロッテ一筋の福浦だが、今季の最大の興味は、通算2000安打を達成するかどうか。あと68本まで迫っている。
昨季は、1軍デビューしてからの20年間で最低の20安打に終わったが、昨季が本厄だったことを踏まえると、この不調の原因は実力の衰えとは別のところにあったと思いたい。今季中の2000安打達成を願って、打棒復活に期待だ。
厄はいっぺんに消え去るのではなく、徐々に薄くなっていくものだという。本厄が消えようとしている時期にあたる後厄の年で注意すべきは「油断」。松井も福浦も百戦錬磨のベテランなので杞憂だろうが、油断のないよう「後厄が残っていること」を心に留めておいてほしい。
最近は選手寿命が延びている……と言っても、人生で2度目の厄年を現役のうちに迎えるプロ野球選手はなかなかいない。
それだけに今回紹介したベテラン、いやレジェンドたちは、厄に負けずに食らいついてほしい。特に本厄、前厄にあたる4選手は、必ずや厄を振り払ってくれると信じている。
これまでにも故障やスランプなど、ある意味で厄と言っていいような苦難を、日々乗り越えてきたのだから。
文=森田真悟(もりた・しんご)