ちなみに、馬名のフォーシームとは、いわゆる直球の意味。豪速球投手の強く速いストレートをイメージして名付けたそうだ。吉井コーチ自身の現役時代の決め球はツーシームで、こちらは打者の手元で変化する球だが、競走馬は真っ直ぐ走ってもらわないと困ることから、ツーシームではなくフォーシームにしたという。
そんなフォーシームは、父がダイワメジャー、母がマイヴィヴィアンという3歳牝馬。おそらく、ちょっとした競馬ファンならピンときたのではないだろうか。そう、なかなかの血統なのである。
父のダイワメジャーは、現役時代に皐月賞や秋の天皇賞など最高峰のG1レースを5勝した名馬で、2015年のJRA種牡馬ランキング4位。種牡馬としても優秀だ。そして、母のマイヴィヴィアンは、現役時代は未勝利に終わったが、繁殖に上がって、日本ダービーなどG14勝のメイショウサムソンを産んでいる。
父のダイワメジャーも兄のメイショウサムソンも、年齢を重ねても活躍しただけに、フォーシームも、初戦で敗れたことはそう悲観することでもない。
なお、現役時代の吉井コーチも、1983年秋のドラフトで近鉄から2位指名を受け入団しながら、初勝利を挙げたのはプロ4年目の1987年。そこから、ヤクルト、ニューヨーク・メッツ、コロラド・ロッキーズ、モントリオール・エクスポズ、オリックス、ロッテと、メジャーも含めた7球団を渡り歩き、2007年で引退するまでに、385試合に登板し、89勝82敗62セーブという成績を残した。最初から華々しい活躍をしていた選手では、決してなかったのだ。
フォーシームは、順調ならまた数週間後にレースに出走することになるだろう。まだまだ挽回のチャンスはあるので、今後の走りに注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)