昨シーズン中ヤクルトの悩みだった、1番・センターはこの男で埋まった。その男とは「浪速のヒットメーカー」こと坂口智隆だ。
坂口は昨オフにオリックスを自由契約となり、今季ヤクルトに入団。オープン戦での熾烈なセンター争いを制して、見事に開幕スタメンを勝ちとった。
開幕カードこそ6番を任されていたが、4試合目からは定位置となるトップバッターに落ち着き、川端慎吾、山田哲人につなぐチャンスメーカーとして機能している。
「浪速のヒットメーカー」から「神宮のヒットメーカー」と呼ばれる日も近い。1番・坂口が塁に出ることで、SKY48は始まるのだ。
現在の日本球界におけるひとつのトレンドとなった「バントをしない2番打者」は、“ガラスのプリンス”と呼ばれ続けた川端の代名詞となっている。川端は首位打者を獲得した昨季からさらにパワーアップし、今シーズンは二塁打の数が倍増している。
対戦カードが一巡したところの成績を比較すると、
2015年:15試合
63打数23安打(うち二塁打5本)/打率.365
2016年:14試合
64打数24安打(うち二塁打9本)/打率.375
その他の成績はさほど変化はないが、二塁打はなんと脅威の92本ペース。1シーズンにおける二塁打の最多記録は、谷佳知(元オリックスほか)の52本、セ・リーグ記録の福留孝介(阪神)の47本を余裕で超える。今季は川端の1シーズン最多二塁打記録更新に期待したい。
ソフトバンクの柳田悠岐とともに、2年連続トリプルスリーを目指す山田哲人も好調だ。川端同様、セ・リーグ対戦相手が一巡したところの成績を比較してみる。
2015年:15試合
57打数17安打/打率.298/2本/3盗塁/10四球/9三振
2016年:14試合
52打数17安打/打率.327/4本/4盗塁/12四球/5三振
なんと、全ての項目で昨季を上回っている。オープン戦の状況から、春先不調説、花粉症説と様々な憶測が流れていた山田。しかし、その心配は杞憂に終わりそうだ。
今年から背番号1を背負ったミスタースワローズの後継者は、さらなる進化を遂げるだろう。
開幕ダッシュはならなかったものの、15試合を終えてチーム打率.277は、広島に次ぐ2位のヤクルト。「セ界の火ヤク庫」と呼ばれる、自慢の打撃力は健在だ。
坂口の加入もあり、メンバーが1年間ケガなく過ごせば、昨季以上の結果も期待できる。さあ、“ROB”を解体して新たに結成した“SKY48”の推しメンを決めて、ヤクルトのセ界連覇を見届けよう。
文=勝田聡(かつた・さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。 プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中。