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事件はお立ち台で起きた! 開幕前に知っておきたい記憶に残るヒーローインタビュー珍プレー集


 1974年、パ・リーグの人気を高めるため、日本ハムがファンサービスとして始めたヒーローインタビュー。今や試合終了後に、監督や選手とファンが勝利を分かち合う、当たり前の光景となった。

 多くの選手は言葉でファンに喜びを伝えているのだが、近年は歌ったり叫んだり、徐々にエスカレートする選手が続出。それだけでは飽きたらず、面白いパフォーマンスを披露する選手も飛び出した。

 そこで今回は、お立ち台で起こった珍プレーを紹介していこう。


Tシャツをキャンバスにしたマエケン画伯


 昨季のヒーローインタビューで話題となったのは前田健太(当時広島/現ドジャース)だろう。普通に終わるのでは面白くないだろうということで、本拠地のお立ち台には、その試合を象徴的する選手やシーンを描いたTシャツを着て登場。しかしその絵は、あまりにも画伯だった。

 ただ、Tシャツへの登場回数が多かったブラッド・エルドレッド(広島)を「描き過ぎて上手くなった」と言うなど、さすがに何度も描いているうちに上達していった様子。終いには、広島の後輩から「上手くなってて面白くなくなった」とクレームが出たとか。

 ちなみにこのTシャツはファンにプレゼントされるので、ファンサービスという面ではこれ以上ないものだった。つくづくメジャーに挑戦したことが悔やまれる。


シャイな男がファンサービスをがんばってみた


 2008年5月7日の西武ドームのお立ち台には、スパイダーマンが立っていた。

 この日、ダルビッシュ有(当時日本ハム)からサヨナラヒットを打った片岡易之(現登録名・治大/当時西武)が被っていたもので、インタビュー後はベンチの屋根に上がったり、外野フェンスによじ登ったりするなど、スパイダーマンさながらの動きを披露。ファンの笑いを誘った。

 しかし、本当の片岡はシャイな性格の持ち主。社会人野球・東京ガス時代の同僚で片岡の性格を知る内海哲也(巨人)が、スパイダーマンに対して「見ていられない」とコメントを残したことからも、ファンのために相当がんばっていたことがうかがえる。

 ただ、片岡は前年にカエルのかぶりものでお立ち台に登場したことが評価されて、契約更改の際に「かぶりもの手当」をゲットしていたので、味をしめていた可能性も…。


穏やかな性格が生んだ語り継がれる名言


 お立ち台での珍プレーは、選手だけのものではない。日本シリーズでは選手よりも先に監督がお立ち台に上がるのだが、事件は2001年の大一番で起こった。

 ヤクルトの若松勉監督(当時)が、日本一を勝ち取った直後のお立ち台で「ファンの皆様、おめでとうございます」と発言。スタンドがドッと笑いに包まれた。

 発せられた瞬間こそ珍言だったが、時間が経つにつれて若松監督の温厚な人柄を表す言葉として評価が急上昇。その年の流行語大賞にノミネートされるまでになった。

 ちなみに当時の優勝メンバーだったヤクルトの真中満監督は昨年のリーグ優勝時に、実はこのセリフを用いるという粋な演出を行っていた。


いでよ! 伝説になるお立ち台戦士


 真面目なインタビューも、もちろんいいものだ。一方で、遊び心があるヒーローインタビューも素敵だと思う。ファンあってのプロ野球。さまざまな要素で楽しませようという、選手の気持ちが伝わってくるからだ。

 だから今季も、後世に残る何かが起こることに期待したい。

文=森田真悟(もりた・しんご)

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