春季キャンプ前から根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)、吉田輝星(日本ハム)といった高卒ドラフト1位の選手がメディアを賑わしている。しかし、根尾が右足ふくらはぎの肉離れで離脱。すでに復帰をしているが、藤原はインフルエンザで数日間、自主トレから姿を消した。
思えば、昨年を振り返ってみると清宮幸太郎(日本ハム)も右手の負傷で万全な状態とは言えずに2月1日を迎えていた。
今回は、1年前の黄金ルーキーである清宮、安田尚憲(ロッテ)、村上宗隆(ヤクルト)をはじめとした2年目の選手たちをピックアップ。近い将来、チームを変える主力になることを期待される彼らは、どのようなオフを過ごしたのだろうか。
高卒ルーキーながら7本塁打を放った清宮は今年、レギュラーを本気で目指すシーズンとなる。しかし昨年同様に故障があり、思うように調整が進んでいない。すでにバットを振ってはいるものの、本調子には程遠い。栗山英樹監督も「痛いとか関係ない、ゆっくりしている場合じゃない」と強烈な愛のムチ。
すでに1軍キャンプメンバーとしてアリゾナに向かうことは決定しているが、開幕までに調子を整えることができるか注目される。
清宮と高校時代から比較され続けてきた安田のオフシーズンは充実していた。WBSC U-23ワールドカップでMVP、ベストナインに選出されると、アジア・ウインターリーグ・ベースボールでも3割を超える打率をマーク。三塁のレギュラー候補に名乗りを上げている。
だが、簡単にスタメンを奪うこができるほど甘くはない。ロッテの三塁は、大砲・レアードを獲得したことで、鈴木大地ですらコンバートが囁かれているほど。また、一塁には井上晴哉も控えている。指名打者には新外国人選手のバルガスの起用が濃厚だ。
とはいえ、井口資仁監督は安田に大きな期待を寄せており、昨年は新人王資格の残る「60打席」でシーズンを終えた。手強いライバルたちとの競争に勝ち抜くことができるだろうか。
そして村上だ。フェニックス・リーグ、アジア・ウインターリーグ・ベースボールで活躍し、三塁のレギュラー争いに加わるだけの実績を残してきた。年明けからは青木宣親や上田剛史といったチームの先輩たちと、ロサンゼルスで合同自主トレを行ってきた。
三塁候補となる川端慎吾や大引啓次らベテランには、実績、経験値、守備・走塁と及ばないものばかりだ。しかし、パワー、そして若さ・将来性は村上に軍配が上がる。初打席初本塁打の衝撃的なデビューで終わることなく、2年目となる今季は1軍定着、そしてレギュラーを目指す。
2017年夏の甲子園で大会記録となる6本塁打を放った中村奨成(広島)も忘れてはいけない。捕手という難しいポジションということもあるが、1年目に1軍出場を果たすことはできなかった。
このオフには母校・広陵高で行われた野球教室に参加。その場で恩師の中居哲之監督からは「生ぬるい」と強烈な一言を頂戴しており、2年目にかける思いはより強くなったはず。すでに発表されているキャンプの振り分けでは2軍スタートとなったが、今シーズンこそ1軍での出番を勝ち取りたい。
もちろん、2年目を迎える選手はドラフト1位だけではない。2017年ドラフト2位の高橋礼(ソフトバンク)も順調だ。昨シーズンは初勝利こそ挙げられなかったものの、12試合で防御率3.00とまずまずの成績を残した。その活躍もあり、追加招集といえ、日米野球のメンバーにも選ばれている。
オフには専大松戸高の先輩でもある上沢直之(日本ハム)と合同で自主トレを行った。その場で上沢から多くの教えを受け、先発ローテーション定着に一歩近づいた。本人は先発を目指すと語っているが、中継でも対応できるのが強みでもある。工藤公康監督はどんな起用してするのだろうか。日本シリーズ3連覇へ向け、確固たる戦力としての地位を確立させたい。
このように2年目を迎える選手たちもパワーアップを目指し、トレーニングを行っている。春季キャンプで成長した姿を見せ、1軍の戦力となることに期待したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)