4月22日(日本時間23日)に敵地でのレッドソックス戦に先発した田中将大は、4回に連続ソロを浴びたものの、7回1/3を7安打2失点、無四球7奪三振。デビュー以来無傷の3連勝を飾った。
「2本塁打を浴びた後にきちんと修正できたことに感銘を受けた。彼が25歳だということを忘れそうになる。ルーキーであれだけ堂々とした投球を続けられるピッチャーを初めて見た」(ジョー・ジラルディ監督/ヤンキース)
「異文化の中に飛び込みながら、メジャーの野球にこんなにも早く適応している。それがなにより印象的」
とレッドソックスのジョン・ファレル監督は、ライバルチームのニューフェイスを称えた。ヤンキースの主将を務めるデレク・ジーターには「彼にとってはニュースでもなんでもない。すごい自信を持って投げている。後ろで守っていて楽しい」と言わしめ、周囲の信頼は4月の投球だけでしっかりと勝ち取った様子だ。
ニューヨークポスト紙は「素晴らしいタナカ。ツーストライクを取られた時点で打者はアウトになったようなものだ」の見出しをつけ、「6回にナポリがカウント2-2から二塁打を放ったが、これはゲームを中断してセレモニーを開くほどの快挙だった。ナポリ以前に2ストライクに追い込まれた45人の打者の最終結果は43打数0安打、2四球、24奪三振。43打数0安打を読み間違いと思ったあなた。それはけっして読み間違えではない」とカウントを追い込んでからの圧倒的な強さを紹介。
4度の先発機会で奪った三振35個に対し、四球がわずか2個という制球力のよさ、そしてすべての登板で7回以上を投げ抜き、3失点以内に抑えた安定感を絶賛し、「彼はピッチングも感情もコントロールできる。先発陣の軸となるツートップはサバシア、クロダからタナカ、ピネダに移った」と記事を結んだ。
スポーツ系オンラインメディアの「BLEACHER REPORT」も「現在までのところ一番印象的なことは35奪三振に対し四球がわずか2という点。それは自身の力で打者をねじふせられる投手であることの証明でもあり、同時に失点の減少にも役立っている」と制球力のよさにスポットを当てた記事を掲載。「これまでにメジャーで投じた410球中ストライクが285回。ストライク率69.5%はメジャーリーグ平均63.3%を大きく上回る」とデータで裏付けをおこなった後、「タナカが投げたチームは軒並み打線が強力と称されるチーム。打者有利といえる球場でもしっかりと結果を出している。現在までのところ、タナカはヤンキースが期待していた通りの活躍を見せている」と報じた。
「BLEACHER REPORT」のコメント欄をのぞいてみたところ、目に飛び込んでくるのは田中を評価する声ばかりだ。
「オルティスにストレートで勝負して打たれたのは点差があったから。もっと競った場面ならば違う配球だったろうし、おそらく打たれていない」
「ここまでの登板機会の中でいくつかの失敗はあったが、以降の登板で糧に変換してしまえている点が印象的だ」
「未来が楽しみになってきた」
「彼は投球術というものをわかっているし、四球を出さないことの重要性も実によくわかっている。バッターは彼のストレートが高めに浮くことを期待する以外に打つチャンスはないだろう」
「どの球種でもストライクが取れるから、容易にカウントを追い込める。追い込んでさえしまえばスプリットで三振が奪えるし、打者がスプリットに意識がいき過ぎるあまり、ストレートもスライダーに手が出ないシーンも見ることができる」
「今日でわかった。彼の成績は最低でも18勝だ。負けは3だな」
「成績予想は24勝0敗でもいいかもしれない」
「この先7年もこの投手と対戦しなければいけないのか? レッドソックスファンにとっては実に悪いニュースだ」
「こんなことを口にしたくはないのだが、彼は本物だ」
過去3度の先発後は、ケチをつけるような懐疑的なコメントが何割か存在したが、徐々に減り、4度目はとうとうゼロ。マー君はわずか4度の先発機会にして、辛口のニューヨークファン、そして目の肥えたメジャー通に認められる存在になったといえよう。
文=服部健太郎(ハリケン)/1967年生まれ、兵庫県出身。幼少期をアメリカ・オレゴン州で過ごした元商社マン。2児の父で少年野球チームのコーチをしていたその経験をもとにつづった「野球育児入門」を『週刊野球太郎』で連載。堪能な英語力を生かした外国人選手取材と技術系取材を得意とする実力派。