2月も中旬に入り、紅白戦や練習試合も盛んになってきた。各球団のポジション争いは熾烈を極めており、選手たちは日々アピールを行っている。そのなかで、先発ローテーション争いはどのようになっているのだろうか。パ・リーグ6球団の現在地を確認してみたい。
昨シーズン、10年ぶりにリーグ制覇を果たした西武のオフは苦難が続いた。エースの菊池雄星がポスティング制度でマリナーズへ移籍。さらには浅村栄斗と炭谷銀仁朗がFA宣言をし、浅村が楽天、炭谷が巨人へ移籍したのである。
そんな西武のエース候補は多和田真三郎となる。昨シーズン、初めて規定投球回に到達し、16勝(5敗)で最多勝にも輝いた。今シーズンは菊池が抜けた投手陣を支える存在となる。それに続くのが榎田大樹。阪神から移籍1年目の昨年、自己最多の11勝をマークし、結果を残した。
この2人に続くのはドラフト1位の松本航、十亀剣、今井達也、そして、巨人からやってきた人的補償コンビの内海哲也と高木勇人だろうか。そのほかには高橋光成に伊藤翔と若手投手の素材は揃っている。また新外国人選手のニールもいる。ただ、頭数を見れば豊富だが、確固たる実績を持っている投手は多くない。多和田、榎田以降は競争となりそうだ。
日本シリーズ3連覇を目指すソフトバンクの先発争いは激しい。開幕投手は千賀滉大、東浜巨の2人に絞られているが、それ以降は激戦となる。武田翔太にバンデンハークといった2ケタ勝利経験者、そして昨シーズンにブレイクした大竹耕太郎もいる。故障で出遅れた石川柊太も復帰後は争いに加わってくるだろう。さらにはドラフトで獲得した杉山一樹も控えている。
ほかにもサブマリンの高橋礼、中田賢一に和田毅と若手、ベテランにも候補は揃っている。また、ミランダ、スアレスといった外国人投手も控えており、ローテーションだけでなく、外国人枠の争いも熾烈となっている。
豊富な候補から6人を選ぶとすると千賀、東浜、武田、バンデンハークが確定。残り2枠をスアレス、ミランダで1つ、最後を高橋礼や石川といった若手でどうだろうか。工藤公康監督は頭を悩ますことになりそうだ。
日本ハムの先発投手陣には大きな仲間が加わった。オリックスを自由契約となった金子弌大を獲得し、投手陣の補強に成功したのだ。ローテーション候補を見ると上沢直之、マルティネス、そして金子と3人はほぼ確定だろう。
以降の枠をロドリゲスとバーベイトで1枠を争い、有原航平、加藤貴之で6枠が埋まる。ほかの候補としては杉浦稔大、上原健太といったドラフト1位コンビがいる。また昨年のドラフト3位・生田目翼にもチャンスはありそうだ。
もっともローテーションが苦しくなりそうなのはオリックスで間違いない。西勇輝(阪神)と金子が移籍し、主だった先発投手の補強はエップラーただ1人だけ。
そんななか、エース格となりそうなのは山岡泰輔だ。3年目を迎える右腕は自覚十分。開幕投手にも名乗りを上げている。そしてアルバース、ディクソンの外国人投手の2人が続く。
そのあとには東明大貴、松葉貴大。また、中継ぎからの配置転換で山本由伸や吉田一将の名前も挙がってくる。2017年ドラフト1位の田嶋大樹も復活の期待がかかる。育成出身の榊原翼も控えている。未知数ながら、候補投手は多い。
山岡、アルバース、エップラーとディクソンから1人と3枠は埋まる。残りの3枠を東明、松葉、山本、吉田一、田嶋、榊原で争う構図だろうか。抜擢された先発投手のブレイクがあれば、ひょっとして……。
ロッテは涌井秀章、石川歩、ボルシンガーと3枠は固い。それ以降も有吉優樹、岩下大輝、二木康太と揃っている。そして3年目を迎える佐々木千隼、酒居知史らがいる。ドラフト3位の新人・小島和哉も候補と言っていい。このオフに大きな先発投手の補強を行わなかったことからもわかるとおり、戦力は整っている。
最下位に沈んだ楽天は則本昂大、岸孝之というリーグ屈指の2枚看板が揃っている。しかし、その後に続く確たる投手の不在がネックだ。美馬学、古川侑利、藤平尚真、辛島航、池田隆英らが候補となりそう。また、広島からトレードでやってきた福井優也にもチャンスはあるだろう。故障からの復帰を目指す安樂智大にも期待。済美高の先輩である福井とともにローテーションを勝ち取りたい。
本稿執筆時点では、まだオープン戦も始まっていないが、ローテーションの骨格は見えてきた。果たして開幕後はどのようなローテーションになるのだろうか。各監督の決断に注目が集まる。
文=勝田聡(かつた・さとし)