来シーズンからヘッドコーチとしてヤクルトのユニフォームに再び袖を通す宮本慎也。すでに秋季キャンプに参加し、山田哲人ら主力に熱血的な指導を行うなど存在感を発揮している。チームにいい緊張感がみなぎっているようだ。
その宮本は1970年生まれ。PL学園高では2年時に、立浪和義(元中日)らとともに1987年の甲子園で春夏連覇を達成。その後、同志社大、プリンスホテルを経てヤクルト入り。犠打、守備の名手としてレギュラーに定着すると、2013年の引退までに2133安打を放ち、名球会入りを遂げた。
ヤクルト・野村克也元監督も宮本を賞賛するコメントを多く残しており、指導者としてどのような結果を残すのか注目が集まる。
また、打撃コーチとして新たに加わる石井琢朗も1970年生まれだ。現役時代は横浜(現DeNA)、広島で活躍。宮本と同じく名球会入りを果たしている。引退後は広島で打撃コーチを務め、リーグ最強とも呼べる現在の広島打線を作り上げた。
新しく加わった1970年生まれの両コーチが一回り上となる1957年生まれの小川淳司監督をどのように支えていくのか。相乗効果を楽しみにしたい。
入閣する宮本ヘッドコーチ、石井打撃コーチと同じく、昨シーズンを限りに退任した真中満前監督、伊藤智仁前投手コーチも1970年世代だ(※真中前監督は1971年1月の早生まれ)。
真中前監督は2014年の最下位から巻き返し、監督初年度の2015年にリーグ優勝を成し遂げたものの、その後、2年間は低迷。今シーズンは球団史上ワーストとなる96敗を喫し、責任を取る形となった。伊藤前コーチも投手陣を立て直すことができず、退団となった。
真中前監督、伊藤前コーチはともに1992年のドラフトでヤクルトへ入団。現役引退後もコーチ、監督としてチームを支えてきた。今回、2人とも初めてチームを離れることになる。
長きにわたってチームを支えた1970年世代の2人がチームを去り、新たな1970年生まれの2人が首脳陣として入閣する。アマチュア時代から同じ時代を戦ってきた4名だが、野球観はそれぞれ違うだろう。どん底にあるチーム状態がいい方向に変化することを期待したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)