プロ野球ではオープン戦が始まった。もう少しすれば、社会人野球ではスポニチ大会が始まり、高校野球ではセンバツが開催される。さらには、プロ野球のペナントレースはもちろん、全国各地で大学野球も開幕。いよいよ本格的な野球の季節がやってくる。
一冬を超えて迎えた今春からの半年間、プロを目指すドラフト候補にとっては勝負のときとなる。わずか100名程度の狭き門をくぐり抜け、指名を勝ち取るために本気の勝負が繰り広げられる。
前回の高校生に続き、今回は本誌『野球太郎No.029 2018ドラフト総決算&2019大展望号』の評価をもとに、本誌編集部が太鼓判を押す大学生、社会人、独立リーグのドラフト注目候補を紹介しよう。
■森下暢仁(明治大、投手)
ドラフト1位指名を確実視されているのが明治大の右腕・森下暢仁だ。本誌『野球太郎』のプロ注目度は評価A。大分商高時代から有望株として注目されていたが、プロ志望届を提出せず進学を選択した。ここまでの大学3年間では故障もあり9勝8敗、防御率3.04と圧倒的な成績を残してきたわけではない。それでも高い評価は揺るがない。
最速150キロを超えるストレートと大きなカーブ、そしてカットボール、スライダーと変化球も多彩。また、大学生ながら「伸びしろ」が大きいと目されており、プロ入り後もまだまだ成長しそうな素材型として注目を浴びる。
■佐藤都志也(東洋大、捕手)
今年の大学生ドラフト候補は捕手の有望株が多いと話題になっている。その一人が東洋大の佐藤都志也である。本誌のプロ注目度はB+。2年春に首位打者を獲得し一躍、脚光を浴びた。昨秋は打率.220と不振だったが、通算打率は3割を超えている。捕手としては珍しく俊足巧打タイプだ。
上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)ら1学年上の3投手とバッテリーを組んだ経験も大きな財産。今年は最上級生としてチームを引っ張る。ただし捕手としても高評価だが、一塁手や侍ジャパン大学代表では右翼手での出場もあり、プロ入り後は打力を生かしてコンバートされる可能性もありそうだ。
■太田龍(JR東日本、投手)
社会人で注目したいのは、れいめい高からJR東日本へと進んだ太田龍だ。2016年のドラフト時に山本由伸(都城高→オリックス)、梅野雄吾(九産大九産高→ヤクルト)、浜地真澄(福大大濠高→阪神)とともに「九州四天王」と呼ばれていたことで記憶しているファンも多いだろう。
そのなかで唯一、太田はプロ志望届を出さずに社会人野球の門を叩いた。昨年の都市対抗では3試合に登板し無失点。若獅子賞を受賞する活躍を見せ、全国の舞台で躍動した。190センチの長身から150キロを超えるストレートを投げ下ろし、スライダー、チェンジアップなどの変化球を使う。細かい制球力には不安があるものの、上位指名は間違いない。本誌のプロ注目度もAとなっている。
■立野和明(東海理化、投手)
太田と同じく高卒社会人では、中部大第一高から東海理化へと進んだ立野和明にも注目が集まる。本誌のプロ注目度はB+だ。昨秋の日本選手権では室蘭シャークス戦で延長12回を1人で投げぬいた。最速は150キロを超え、スタミナもある。181センチ77キロと少し細い印象を受けるが、腕の振りが鋭く力強い。
昨年は社会人選抜チームの一員としてアジア・ウインターリーグにも出場したが、3試合で5回2/3を投げ8失点(自責点6)、防御率9.53と精彩を欠いた。しかし、評価を大きく落とすことなく、多くの球団が現在も視察に訪れている。
■岸潤一郎(四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックス、外野手)
岸潤一郎という名前を聞いてピンとくるファンも多いのではないだろうか。明徳義塾高時代は甲子園で名を馳せ、侍ジャパンU-18代表でも活躍した逸材だ。その後、拓殖大に進学したものの故障もあり退部。一時は野球をやめていた時期もあった。しかし昨年、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスで復帰し、1年目から盗塁王を獲得するなど非凡なセンスを見せている。
侍ジャパンU-18代表でチームメートだった岡本和真(巨人)は昨シーズン、33本塁打に100打点と大ブレイク。淺間大基(日本ハム)や高橋光成(西武)も1軍の主力候補と期待され奮闘している。大学経由の同級生では小島和哉(ロッテ)が昨年のドラフトでプロ入りを果たした。岸が同級生と同じ舞台で、再び野球をできる日をファンは待ちわびている。
(※2月25日に発売した『野球太郎 No.030 プロ野球選手名鑑+ドラフト候補名鑑2019』での評価は後日掲載!)
文=勝田聡(かつた・さとし)