8月も後半に入り、ペナントレースも残り少なくなってきた。セ・リーグは巨人、パ・リーグはソフトバンクが抜け出したが、ともにAクラス争いは混戦模様となっている。そんななか、Aクラス入りを目指して戦っているチームの先発投手にまつわる『週刊野球太郎的成功&失敗の法則』を探ってみた。
「こじまじゃないよ、おじまだよ」でお馴染みのルーキー・小島和哉(ロッテ)が8月14日の日本ハム戦でプロ初勝利をマークした。それまで打ち込まれるケースが多く3連敗と「プロの壁」にぶつかっていたが、6回1失点と堂々のピッチング。Aクラス入りへ向けて、新戦力の台頭は井口資仁監督にとっても嬉しいだろう。
小島は浦和学院高2年時に、エースとしてセンバツを制した“甲子園優勝投手”だ。しかし、高卒でプロ入りすることなく早稲田大への進学。主将を任されるほどの存在になった小島は東京六大学リーグ通算22勝の成績を残し、プロの世界へと飛び込んだ。
早稲田大出身の左腕は成功例が多い。2017年育成ドラフト4巡目で指名された大竹耕太郎(ソフトバンク)がそのひとり。ルーキーイヤーから支配下登録を勝ち取ると、初登板初勝利を記録。日本シリーズにも抜擢された。2年目の今シーズンも先発ローテーションに入り、5勝をマークしている。
貴重な中継ぎ左腕として侍ジャパンに選ばれた高梨雄平(楽天)も早稲田大の出身だ。JX-ENEOSを経て2016年のドラフト9位で楽天に入団。ドラフト下位の評価だったものの、初年度は46試合で防御率1.03、2年目の昨シーズンも70試合で防御率2.44と、ブルペンになくてはならない存在にのし上がった。今シーズンは虫垂炎での入院もあり、40試合の登板にとどまっているが、防御率2.22と好成績を残している。
ほかにも現役選手では和田毅(ソフトバンク)が38歳ながら奮闘中。昨シーズンは故障で登板がなかったものの、今年6月に1軍復帰を果たし、4勝をマークしている。
小島も「早稲田大出身の左腕」の先輩たちに続き、好成績を残したい。
■早稲田大出身の現役左腕
小島和哉(ロッテ)
大竹耕太郎(ソフトバンク)
高梨雄平(楽天)
和田毅(ソフトバンク)
DeNAはシーズン序盤に大型連敗を喫したが持ち直し、Aクラス争いを繰り広げている。
宮崎敏郎こそ離脱したが、筒香嘉智、ソト、ロペスと打撃陣の破壊力はリーグ屈指。さらにはドラフト2位の伊藤裕季也も結果を残し、宮崎の穴を埋め、スタメンに定着しつつある。
また投手陣は抑えの山崎康晃が盤石。先発投手陣もエース・今永昇太をはじめとして濱口遥大、石田健大、平良拳太郎、上茶谷大河、井納翔一と計算できる投手の名前が多数挙げられる。2年ぶりとなるCS進出が現実味を帯びてきた。
そんなDeNAだが、近年、連続で2ケタ勝利を達成した投手が不在となっている。昨シーズンの新人王・東克樹も今シーズンは出遅れており、現時点で3勝(2敗)のみ。残り試合数からすると2ケタ勝利は困難だ。
2017年に2ケタ勝利を達成した今永、濱口、ウィーランドも翌年の成績は奮わなかった。遡ってみると2年連続2ケタ勝利を挙げた投手は、DeNAになった2012年以降はなんとゼロ。前身の横浜ベイスターズ時代を含めると2005年に11勝、2006年に10勝をマークした門倉健が最後となる。
今シーズン2年ぶりの2ケタ勝利を達成した今永だが、来シーズンも2ケタ勝利できるか。嫌なジンクスを断ち切りたいところだ。
■DeNA年度別2ケタ勝利投手
2019年:今永昇太(11勝 ※8月22日現在)
2018年:東克樹(11勝)
2017年:今永昇太(11勝)、濱口遥大(10勝)、ウィーランド(10勝)
2016年:山口俊(11勝)
2015年:不在
2014年:久保康友(12勝)、井納翔一(11勝)
2013年:不在
2012年:不在
(※成績は8月22日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)