■1位:栗林良吏(愛知黎明高→名城大・2年)
投手/176センチ72キロ/右投右打
紅白戦で栗林良吏は2回6人をピシャリ。最速149キロを叩き出したストレートに、ツーシーム、チェンジアップ、スライダーを低めにズバズバ決める制球力は圧巻。弓矢を引き、的を射るような正確性があった。
しかもまだ2年生。今は華奢だが、体ができてストレートの重さが増せば4年秋には佐々木千隼と同格、いや、それ以上になりえる逸材だ。侍ジャパン大学代表・横井人輝監督をして「明治神宮大会ではボールのばらつきがあったが、準備すればこれくらいできることがわかった」と喜ばせた。このまま順調にいけばユニバーシアードではエース格。
「くりばやし・りょうじ」。この男を覚えておけば間違いなく2年後のドラフト会議まで楽しめること間違いなし。
■2位:草場亮太(伊万里商高→九州産業大・3年)
投手/183センチ75キロ/右投右打
伊万里商高時代からプロ注目だった最速151キロ右腕・草場亮太。福岡六大学秋季リーグ戦で敢闘賞、防御率1位(32回3分の1を投げ防御率1.39)、ベストナイン投手部門の投手3冠をひっさげ、今回、初の大学代表選考合宿選出となった。
増井浩俊(日本ハム)を思わせるしなやかかつ、リリース時の強い腕の振りが特徴。紅白戦では最速147キロをマークしたストレートの勢いと、タテのスライダー、チェンジアップの落差には、いずれも目を見張るものがあった。
制球力が改善されれば、2017年には確実にドラフト1位候補に入ってくるだろう。
■3位:内海大寿(徳島商高→中部学院大・3年)
外野手/180センチ84キロ/右投右打
今回の侍ジャパン大学代表選考合宿において、最大の発見が内海大寿。徳島商高3年時以来、3年ぶりにプレーを生で見る機会に恵まれたが、まず驚いたのは見違えるように大きくなっていた体。徳島商高2年秋の「徳島県高等学校野球体力・技術研修会」で遠投110メートル70センチを記録した強肩は、3年の時を経て、正確性と強さが増していた。紅白戦では判断よく左中間の当たりをグラブの先でつかむファインプレーも見せた。
しかも、正直に言って高校時代は平均点レベルのスイングだったが、今は常時フルスイングできるようになり、走塁面での「走りきる」意識も格段に上がっていた。
この秋は東海地区大学野球選手権で優秀選手賞を初受賞するなど伸び盛り。地元・徳島県松茂町成人式以来のスピーチはぜひ「ドラフト上位指名」のときにお願いしたい。
■4位:東克樹(愛工大名電高→立命館大・3年)
投手/170センチ70キロ/左投左打
齊藤大将(桐蔭学園高→明治大・3年・179センチ74キロ/左投左打)ら、好左腕がそろった今合宿で最速146キロをマークし、2回を投げて無失点、4連続奪三振と最もインパクトがあった男が東克樹だ。
関西学生リーグでの修羅場をくぐりぬけてきただけあって、マウンドでの落ち着きぶりもさることながら、変化球を投げるときに腕の振りがスピードが緩む投手が大半のなか、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カーブといった多彩な球種をしっかり腕を振って投げられる。その点に野球IQの高さが見えた。
タイプで言えばブレイクした中日時代の高橋聡文(現・阪神)。小柄な点だけが気になるが、即戦力として来年のドラフトで上位指名する球団が現れても、まったく不思議ではない。
5位:近藤弘樹(安佐北高→岡山商科大・3年)
投手/187センチ92キロ/右投右打
サイズだけなら今すぐプロで通用。中国地区大学リーグを代表するビッグマンが近藤弘樹だ。
最速は151キロ。紅白戦でも145キロをマークしたストレートが最大の武器だが、長身のわりにツーシーム、スライダー、フォークにスローカーブも巧みに操る器用さを持ち合わせている。リリース近くまで腕を隠すことで打者のタイミングが取りづらくさせるフォームも特長だ。
ただ紅白戦では緊張からか、投球ごとにいいときと悪いときの差が大きかった。「面白い選手」と侍ジャパン大学代表・横井人輝監督から一定の評価は得ただけに、春までに角度のつけ方を考えるなど、評価を信頼に変えるさらなるアピールポイントがほしい。成長が見られれば、プロ上位指名への道が開けるはずだ。
先述した5位までの選手が投手ばかりだったので、合宿中に目を惹いた野手にも触れたい。
捕手では小林遼(仙台育英高→富士大・3年・172センチ75キロ/右投左打)が三塁もこなすユーティリティーぶりを披露。小畑尋規(北照高→立正大3年・179センチ79キロ/右投右打)は二塁スローイングの正確性に課題を残す反面、シャープな動きを見せた。
内野手では小林陽平(中京大中京高→法政大・2年・175センチ74キロ/右投左打)が卓越したバットコントロールで紅白戦の首位打者に輝いた。宮本丈(履正社高→奈良学園大・3年・181センチ80キロ/右投左打)はスピード感はある一方で、少し雑なところがある守備が気になるところ。日本ハムの内野手・太田賢吾の兄でもある太田和輝(日大三高→日本大・3年・183センチ86キロ/右投右打)は村田修一(巨人)を思わせるフォロースルーの大きなスイングが目を惹いた。
外野手では、今年7月に開催された日米大学野球で侍ジャパン大学代表に選ばれたに選手たちに注目したい。島田海吏(九州学院高→上武大・3年・176センチ82キロ/右投左打)は肩に不安があるものの、50メートル走5秒75の脚力は魅力。50メートル走5秒83の辰己涼介(社高→立命館大2年・178センチ82キロ・右左打)とともにアピールポイントをさらに生かしてほしい。
ちなみに、今回の50メートル走測定では、山(比叡山高)から陸(慶應義塾大)に降り立った巨漢大砲・岩見雅紀(比叡山高→慶應義塾大・3年・178センチ107キロ/右投右打)が6秒35と意外(?)な俊足を見せた。
文=寺下友徳(てらした・とものり)