先発争いは例年になく激しい。先発ローテーション確定と思われるのは、金子千尋、西勇輝、ディクソンの3人くらいだろう。
昨季の金子千尋は7勝9敗と、エースとしては不本意な成績に終わった。スタートからつまずき、初勝利を挙げたのが6試合目の登板でのこと。今季はすでに開幕投手を告げられており、調整に余念がない。今季こそはスタートから波に乗っていきたい。
西勇輝はチーム唯一の2ケタ勝利を挙げた。3年連続の2ケタ勝利ではあったが、10勝12敗と借金は2。結婚をした今季は、エース・金子を追い抜く活躍に期待したい。
ディクソンは3年連続で9勝を挙げた。毎年、2ケタ勝利が見えるところまではいくのだが、壁を超えられないでいる。今年こそ2ケタ勝利を達成したいところだ。
左腕投手のレギュラー争いも激しい。松葉貴大、山崎福也のドラフト1位の2人に山田修義が加わり、先発ローテーション争いが繰り広げられている。
松葉は、長いイニングを投げられるようになってきた。7月29日の西武戦では、プロ初完投勝利を記録。今オフは、大学の先輩である上原浩治(カブス)と合同自主トレを行った。その成果を見せたいところだ。
山崎は先発登板やロングリリーフなどで起用された。1年目の2015年は四球から崩れることが多かったが、徐々に解消されつつある。制球が安定すれば、自然と勝ち星がついてくるだろう。
昨季、山田は7年目にしてプロ入り初勝利を記録。12試合に先発登板を果たした。ローテーション入りするには、立ち上がりの不安定さをなくすことが必要だ。
2年目の近藤大亮は、昨季、プロ初マウンドで故障。以来1軍に戻ることはなかった。今季は万全の状態でローテーション争いに加わる。
2015年に10勝を挙げた東明大貴。しかし、期待された昨季は1勝10敗と真逆の結果になってしまった。オフには右ヒジ関節クリーニング手術を受け、今季は復活の道をたどりたい。
岸田護は昨年5月に右肩関節炎で戦線を離脱。16試合しか登板できなかった。今季はリリーフから先発に転向。投手最年長として、投手陣を引っ張っていく。
昨季の途中からクローザーを任された平野佳寿。58試合で31セーブの活躍を見せ、2017WBCに挑む侍ジャパンにはオリックスから唯一選出された。イニングまたぎも平気だが、本来なら1イニングをピシャリと抑えるのが理想だ。
中継ぎ陣で注目は、昨季、台頭した塚原頌平。54試合に登板し、オールスターゲームにも出場した。昨季限りで引退した小松聖(現2軍投手コーチ)の背番号28を継承。気持ちの入ったピッチングを見せたい。
左腕の海田智行は、何度もピンチの場面を切り抜け、今や頼れる存在となった。先発から中継ぎに配置転換され結果を出した吉田一将は、長身から投げ下ろすストレートに威力がある。彼らに加え、佐藤達也や比嘉幹貴が調子を戻すと、リリーフ陣の層がぐっと厚くなる。
ドラフト1位の山岡泰輔は先発候補。広島との練習試合で先発し、1回を5球で三者凡退に仕留めた。2位・黒木優太、5位・小林慶祐、8位・澤田圭佑も同じ試合でそれぞれ1回を無失点に抑えて結果を残し、中継ぎ候補として名乗りを上げた。
外国人投手では、左腕のコークが先発候補。右腕のヘルメンとウエストが中継ぎ候補の右腕だ。彼ら新戦力が活躍すれば、1軍の投手枠争いは激しいものになる。
投手陣の開幕1軍争いは、例年になく激しい。金子、西が持てる力を発揮し、新しい戦力が活躍すると、2014年にリーグトップの防御率をマークした投手王国の復活も夢ではないだろう。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
関西在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。