前半戦終了時点で、広島が2位・阪神に8ゲーム差。完全に独走態勢に持ち込んでいる。
戦力としてももちろんだが、精神的支柱でもあった黒田博樹が抜けることへの懸念があった広島投手陣。しかし、昨年3勝1敗の薮田和樹が前半戦だけで8勝1敗、同じく4勝3敗だった岡田明丈が7勝4敗、3勝1敗だった大瀬良大地が5勝0敗と、穴は完全に埋まっている。
そして、打線も昨年同様に活発。そのため、新井貴浩、エルドレッド、石原慶幸といったベテランを休ませながら起用できているのも大きい。
昨年のリーグ優勝も2位以下に17.5ゲームという大差で決めたが、このまま行けばそれに匹敵する状況になる可能性もありそうだ。
広島を追うのは阪神とDeNA。阪神は交流戦最終カードからの8連敗が痛かった。それでもまだ貯金があり、2位をキープしている。
投手陣は、リーグトップの防御率で奮闘している。打撃陣はシーズン序盤にチームを牽引していた福留孝介、糸井嘉男の両ベテランが少々お疲れ気味。真夏に向けて、新外国人のロジャースや2軍で打率.365と準備ができている西岡剛らが起爆剤になれるか。
DeNAはここまで最大連勝が5、最大連敗が4と堅実に戦っている。筒香嘉智、ロペス、宮崎敏郎のクリーンアップは安定感があり、投手陣もそれなりに揃っている。このままついていければ、上位2チームが落ちてきたときに食える状態にはある。
中日と巨人は拮抗しており、Aクラスまで5ゲーム差ほど。まだまだチャンスはある。
中日は、ビシエド、ゲレーロに当たりが出だしたことで、開幕当初の危機的状況から持ち直してきている。国籍取得の問題で渡米していたビシエドも、戻ってくるメドが立った。あとは、先発投手陣の奮起次第。
巨人は、球団史に残る13連敗が響いている。菅野智之、マイコラス、田口麗斗の先発3本柱は計算できるので、ここからの巻き返しに期待したい。
故障者が続出しているヤクルトは、元気なメンバーで戦うしかない。セ・リーグの打率最下位を山田哲人と大引啓次が争っているのは、ファンからすれば悪夢でしかないだろう。なにかきっかけがほしいところだが…。
昨年、101試合に出場し頭角を現した宮崎敏郎(DeNA)が、打率.349のハイアベレージで前半戦を終えた。とくに7月は5割に迫ろうかという当たりっぷり。筒香、ロペスに続く5番打者として、存在感を示している。横浜時代の内川聖一が2008年に記録した「右打者最高打率.378」に迫るかもしれない。
また、2000安打に近づいている阿部慎之助(1976安打)、内川聖一(1966安打)、鳥谷敬(1950安打)からも目が離せない。
投手では岩瀬仁紀(中日)と桑原謙太朗(阪神)のセットアッパー2人を挙げておきたい。
41歳の岩瀬は球界最年長選手。6月は14試合に登板し無失点。3年ぶりのセーブも記録し、12年ぶりの月間MVPにも選出された。近年の急降下した成績からこの活躍を想像できた人がいただろうか。
7月に入って2日、9日と打ち込まれたのは気になるところだが、この調子を後半戦もキープできれば、あと7登板に迫った米田哲也(元阪急ほか)の歴代最多登板949を抜くのは時間の問題だ。
桑原は打者の手元で微妙に変化する「真っスラ」を武器に、前半戦は38試合に登板してわずか3失点。防御率は0.72。風貌的にもマテオとドリスが目立つ阪神のリリーフ陣だが、彼らにつなぐ桑原の貢献度は非常に高い。
両投手ともオールスターゲームには出場していないので、しっかり肩を休めて、後半戦も元気な姿を見せてほしい。
(成績は7月13日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)