<セ・リーグ編>
先月の25日に16年ぶりの呪いを解き、Aクラス入りを確定させた広島。その前日の24日にメッセンジャーの完封勝利でCS出場を確定させた阪神。先週はその2チームによる2位、3位争いが焦点となった。
注目カードでも取り上げた10月2日、マツダスタジアムで行われた広島vs阪神。さながらCS前哨戦といった雰囲気のなかで始まったこの試合は、広島先発・野村祐輔が6回2失点と好投。主砲・エルドレッドが体調不良で欠場するも7-2で広島が勝利。直接対決が決まっている阪神にとっては、不安の残る結果となった。
しかしながら翌日の3日、移動日なしで横浜スタジアムに乗り込んだ阪神は、DeNAと対戦。3回にDeNA先発・須田幸太を攻略し5点を先制。9回にもマートンのダメ押し2ランが飛び出して勝利。141試合目でようやく、2位進出を確定させた。同時に3年ぶりのシーズン勝ち越しも決まり、和田豊監督は「(CSファーストステージを)甲子園の阪神ファンの大声援を受けられるのが非常に大きい」とコメント。9月は6勝15敗2分と“失速”しただけに、2位を確定してホッとしたことだろう。
同日に行われた広島vs中日では3-5で広島が敗れ、3位が確定した。前田智徳の引退試合ということもあり、マツダスタジアムには32,217人のファンが集まった試合は今季初先発・福井優也が3回途中でKO。残り1試合で借金2となってしまい、12年連続シーズン負け越しも決まってしまった。この日でセ・リーグは全球団の順位が確定。1位・巨人、2位・阪神、3位・広島、4位・中日、5位・DeNA、6位・ヤクルトとなった。
<パ・リーグ編>
パ・リーグCS進出争いは、大変なことになっている。
注目カードで取り上げた2日、3日の西武vsソフトバンクは両チームの意地がぶつかり合い、近年まれに見る“激戦”となった。第1戦は同点で迎えた8回裏、栗山巧がライトスタンド中段へ勝ち越しソロを放ち2-1で勝利。続く第2戦も同点の8回裏に中村剛也がバックスクリーン左への一発で5-4と勝利し、このカード2連勝。この勝利で西武が3位に浮上し、逆に連敗したソフトバンクは4位に後退した。
▲栗山巧
そのソフトバンクはダメージを残しながら移動日無しで一路、札幌へ。4日の日本ハム戦は8回表まで4-1でリードしていたが、その裏、抑え投手陣が踏ん張れずにまさかの逆転負け。これで残り1試合を勝ったとしても、西武が残り3試合を全敗しなければ、CS出場の可能性はなくなってしまった。結果、翌日5日の日本ハム戦に勝利したものの、その30分後に西武が楽天を下したことで、ソフトバンクのCS出場は夢と消えてしまった。
4日のソフトバンクの敗戦により、CS進出に確定ランプが灯ったのがロッテ。3日に行われた“鬼門”のKスタでの楽天戦は、決勝点を押し出し四球でもぎ取り7-6で勝利。翌4日は試合がなかったが、ソフトバンクの敗戦により日本一を勝ち取った2010(平成22)年以来、3年ぶりのCS出場が決まった。しかしながら5日、6日オリックス戦は1勝1敗と勝ち越せず、2位通過確定とはいかなかった。
今年のCS争いの主役は、誰がなんと言おうと埼玉西武ライオンズだ。ソフトバンクの夢を破った5日の楽天戦も、同点で迎えた土壇場の9回表に中村剛也が勝ち越しの一発。粘り強く勝利を重ね、9月16日には最大5あったソフトバンクとのゲーム差を、この日までの6連勝でひっくり返して3位以上が確定。4年連続CS出場を決めた。さらに翌6日の日本ハム戦も4-3で勝利し、破竹の7連勝。10月6日の時点で2位ロッテと3位西武の差は0.5ゲーム差まで縮まった。
立役者は栗山、中村、ルーキー・?橋朋巳、サファテら候補選手はたくさんいるが、なんといってもこの日まで10連投、6日連続セーブをあげた涌井秀章だろう。先発ローテの柱として期待された今シーズンだったが、6月下旬には2軍落ちも経験。シーズン終盤の最も大事なこの時期に、抑えとして甦ってきた。“獅子奮迅の活躍”とは、まさしくこういうことをいうのだろう。
☆西武vsロッテ(8日/西武ドーム)
2位、3位争いの行方は、8日の西武ドームで行われる直接対決に持ち越された。今シーズン残り1試合の時点で、ロッテは西武に対して10勝13敗と負け越しており、さらに西武ドームでの対戦成績は3勝8敗と分が悪い。ロッテの西武ドームでのチーム打率は.237、防御率は6.16と散々な成績。しかしながら、泣いても笑ってもあと1試合。ここまできたら数字は関係ないだろう。果たして、どんな結果が待っているのか、乞うご期待だ。
■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)…会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。”ファン目線を大切に”をモットーに、プロアマ問わず野球を追いかけている。Twitterは@suzukiwrite。