メジャーリーグでは、「ルーキー・ラギング・デー」と呼ばれるゲリラ新人歓迎行事がある。
各球団の新人が遠征先に向かう際、ユニークなコスプレをして移動するといったイベントで、毎年メディア、ファンの注目を集めている。
今回、皇帝に扮する川崎もルーキー時代には妖精姿で登場し、大いに笑いを誘った。
昨年は前田健太もこの恒例行事の餌食に。チアガールに女装した前田はメディアの取材に「ローアングルはやめて!」「いや〜ん!」と超ノリノリで受け答え、違う方の“マエケン”(前田健)状態だった。
ちなみにヤクルトを退団し、初のメジャー昇格を果たしたバーネットも32歳(当時)ながらルーキー扱い。あのヒゲ面のコワモテが婦人警官に扮したという……。
もちろん、ほかの大物日本人メジャーリーガーたちにもルーキー時代はある。
大御所では昨年引退した黒田博樹もしっかりと慣習に従い、ドジャースのルーキーとなった2008年には赤字にゼブラ柄を基調としたゴージャスヒップホッパースタイルで登場。首元にはゴールドアクセサリーがジャラジャラと揺れていた。
おそらく、松井秀喜(当時ヤンキース)が全身ヒョウ柄で現れた際の衣装のオマージュと思われるが、かなりノリノリの様子だった。
クールなダルビッシュ有(当時レンジャーズ)もルーキー時代にはもれなく仮装。競泳パンツ姿で移動し、さらにはルーキー揃っての女装まで見事にこなした。
そんななか、「ルーキー・ラギング・デー」の魔の手から逃れていた選手もいる。田中将大だ。
2014年にヤンキースに移籍した田中だが、ちょうどケガでの離脱時期が被っており、難を逃れたかに見えた。しかし、2015年秋にその“逃亡”が発覚し、約2年越しの仮装をすることに。
大御所たちが次々とド派手なコスプレを決める中、ハードルがどんどん高くなっていったが、田中は控えめな全身黒ずくめのヒップホップスタイルで現れただけ。
ネット上では「これ、私服だろ」「大先輩たちを見習え」と辛辣な意見が飛び交った。
確かに首から鎖状のネックレスを掛けていたが、一昔前に中田翔(日本ハム)がしていたようなネックレスだった……。どうせなら、新日本プロレス・真壁刀義並みのドデカイ鎖にすべきだった。
ちなみに日本人メジャーリーガー一番の大御所であるイチローもマリナーズのルーキー時代にはフーターズのウェイトレス(タンクトップにホットパンツ)に仮装したとか。しかし、本人の強い要望により、メディアには決して流さなかったというのが定説だ。
また、メジャーリーグではいじめ、いやがらせの防止に力を注いでおり、「新人いじめ」の延長線上にある「ルーキー・ラギング・デー」も問題視されはじめている。
一部現地報道によると女装禁止などが徹底されるようだが、ノリノリのコスプレ願望戦士たちにとってはガッカリな規制になるかもしれない。
文=落合初春(おちあい・もとはる)