ゴールデングラブ賞は、テレビ局、ラジオ局、新聞社等で、プロ野球担当として5年以上の現場取材経験がある記者によるインターネット投票で決められる守備の表彰だ。今回はセ・リーグの受賞者を見てみよう。
セ・リーグの投票権を有しているのは270名。そのうち、今回は265名の投票によって各部門の受賞者が決まった。
セ・リーグで、最も票数が接近していたのは一塁手部門と外野手部門だ。
一塁手部門は1位のロペス(DeNA)が126票、2位の新井貴浩(広島)が122票で、その差は4票。新井はチームの精神的支柱としての役割も果たしており、プレーだけでなく総合的な貢献度を評価した記者も多かったのだろう。
それだけに票が集まったが、ロペスは年間の失策がわずか2と安定しており、僅差でロペスの受賞となった。
外野手部門は1位の丸佳浩(広島)が218票、2位の大島洋平(中日)が144票、3位の鈴木誠也(広島)が109票で、ここまでがタイトル獲得。4位の福留孝介(阪神)が105票、5位の坂口智隆(ヤクルト)が96票と少差で続いた。
ここでは5位の坂口に注目したい。今季、133試合で守備に就いて失策ゼロ。NPB基準の規定試合数(野手はチーム試合数の3分の2)を満たした外野手のなかで、無失策は坂口ただ一人だった(受賞者の失策数は、得票数1位の丸が2個、同2位の大島が3個、同3位の鈴木が2個)。オリックス時代にこの賞を4回受賞している坂口。さすがの守備力である。
しかし、チームがシーズンを通してBクラスに低迷していたこと、あるいはセ・リーグへの移籍初年度でイメージが薄かったためか、記者票をあと一歩取り込みきれず。ただ、守備成績は「幻のゴールデングラブ賞」と言ってもいいだろう。
なお、セ・パを通じての最多得票は、二塁手部門の菊池涼介(広島)で、257票。4年連続4回目のゴールデングラブ賞受賞となった。
同じ二塁手で、打撃では史上初となる2年連続トリプルスリーを達成した山田哲人(ヤクルト)は7票。シーズン前はこの賞を目標のひとつに掲げていた山田だったが、毎日のようにスーパープレーを繰り出す菊池に、票数で大きく水を開けられてしまった。
山田は、2014年には13個の失策を記録したが、2015年は9個、今年が5個と、守備も着実に向上している(今季の菊池の失策は4個)。来季は菊池との票数差を縮められるかどうか。今後の山田の守備にも期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)