6月も下旬に差し掛かり、北海道と沖縄を皮切りに、夏の甲子園へ向けた選手権大会が各地で開幕してゆく。令和元年の記念すべき大会を制するのはどこか? またどんなスターが生まれるのか注目だ
特にドラフト上位候補の佐々木朗希(大船渡)、奥川恭伸(星稜)、西純矢(創志学園)、及川雅貴(横浜)は「高校BIG 4」と呼ばれ、世間の関心が高い。彼らはこの春をどのように過ごしたのだろうか。
この夏、もっとも注目されているのが大船渡の佐々木朗希だろう。2年時から150キロ台後半のストレートを投げ込み、日米の多くの球団から注目を浴びていたのは周知の事実。
ここまで甲子園に出場したことがないにもかかわらず、大きく取り上げられている。4月上旬に行われたU-18侍ジャパン国際大会対策研修合宿では、非公式ながら163キロを計測したことも話題となった。
そんな佐々木だが、春季大会はまさかの結果に終わっている。岩手県大会初戦となった釜石戦で登板することなくチームは敗戦。この試合で佐々木は「4番・右翼」で出場し4打数1安打の結果を残したが、マウンドで1球も投げることはなかったのである。
この結果、夏の岩手大会のシード権を逃すことになったが、それはすなわち花巻東や盛岡大付といった強豪校と初戦から当たる可能性も出てきたということだ。
そういえば7年前、花巻東のエースだった大谷翔平(現エンゼルス)も最後の夏は甲子園に届かなかった。はたして佐々木の夏はどうなるだろうか。
横浜の及川雅貴は雪辱に燃えている。今春のセンバツ前には平田徹監督に「及川で優勝」とまで言わしめた世代ナンバーワンの左腕だが、そのセンバツでは、明豊を相手に3回途中、5失点でノックアウト。初戦で姿を消した。
その後、不調は長引きエースナンバー「1」も失った。春季神奈川県大会では「10」をつけ、準々決勝の弥栄戦、準決勝の桐光学園戦に中継ぎ登板。2試合合計で2回1/3を投げ、1失点、被安打1に終わった。
夏の甲子園で背番号「1」を背負った及川を見ることができるだろうか。母校の大先輩である松坂大輔(中日)の名言でもある「リベンジ」に期待がかかる。
昨夏の甲子園で2年生ながら150キロを計測した星稜の奥川恭伸は順調に成長を続けている。今春のセンバツでは履正社を相手に9回完封、17奪三振と圧倒的な投球で完勝。ドラフト1位候補の片鱗を見せた。習志野には敗れたものの9回3失点(自責点2)、10奪三振を記録。敗れてもなお強し、の印象を残して甲子園を去った。
奥川はセンバツ以降、右肩の張りがあったため大事を取って春季石川県大会には登板しなかった。北信越大会では1回戦の砺波工戦に先発。6回無失点、6奪三振と久々の公式戦で結果を残している。
敦賀気比と対戦した決勝では9回1失点、11奪三振の内容で完投勝利。3連覇の立役者となった。右肩の張りがあったのは事実だが、北信越大会での投球を見る限り深刻な問題ではなさそう。
母校の偉大な先輩・松井秀喜(元ヤンキースほか)でも果たせなかった甲子園制覇へ向け、順調な仕上がりで最後の夏へと向かう。
昨夏の甲子園、創成館戦で9回完封16奪三振と圧巻の投球。一気に全国区となった創志学園の西純矢。気迫あふれる投球を見せ、ガッツポーズでも話題を呼んだことを覚えているファンは多いだろう。昨秋は中国大会の準決勝で敗退し、今春のセンバツには出場できなかった。
そんな西は5月19日に行われた招待試合において、ダブルヘッダーで合計10イニングを投げ、無失点投球と元気な姿をアピールしている。この試合にはプロのスカウトも多く訪れており、高評価を維持している。
150キロを超えるストレートとスライダーは一級品。報道によると日本ハムがすでに外れ1位候補として西をリストアップしているという。しかし、できることなら、外れ1位ではなく、1回目の1位入札で名前が呼ばれたいところ。そのためにも夏の甲子園で誰もが認める結果がほしい。
文=勝田聡(かつた・さとし)