【2016夏の高校野球】《島根観戦ガイド》有望選手と大会展望&勢力ピラミッド
7月13日〜24日(松江市営野球場ほか)
秋王者の大社と春王者の開星が戦力拮抗
間隙を突いてノーシードから一発あるか
☆★☆ 投手編 ☆★☆
●威力増す吉川の剛速球
吉川貴大(開星)の剛速球が威力を増している。一冬で体を大きくしたことで、大舞台で自己最速を4キロ更新する147キロをマーク。センバツ帰りの県大会でも短い回数ながら威力&緩急の見事な融合を見せつけた。チームメートには速球派左腕・岡崎弾、大東戦で好投した右サイドの勝部将司もおり、盤石の投手陣を築く。
秋の王者・大社の投手陣も厚みがある。140キロ超を叩き出す上野南斗、林雄大、2年生・長岡亮太の快速右腕トリオに加え、昨秋の決勝戦で開星を完封した緩急自在の左腕・上原翔流も5月上旬の練習試合から調子を上げており、夏のバトルモードに照準を合わせている。
昨夏に続いて春も県準Vへと導いた2年生右腕・川角亜久瑠(大東)の実力も本物だ。小柄ながら常時130キロ後半のストレートと鋭い変化球をバシバシと決め、少々の悪条件になろうともビクともしない勝負根性の持ち主だ。
不気味なのが、春の県大会で未登板の左右の逸材だ。左の高野脩汰(出雲商)は鋭角に切れ込んで切る球筋が武器の奪三振マシン。右の川口準樹(立正大淞南)は直曲球を低めに集約できる技巧派だ。ともにハマれば手がつけられないだけに、夏の快投が待ち遠しい。その他、昨夏の甲子園を経験した大型右腕・橋本和輝(石見智翠館)、大社を1失点完投で破った離島の怪腕・白川泰聖(隠岐)、昨秋の中国大会で広島国際学院を自責点0に抑えた原暁(出雲)、140キロの快速球でバンバンと攻め込む多々納樹(出雲西)なども面白い存在で、それぞれの持ち味にも期待が高まる。
▲吉川貴大(開星)
☆★☆ 打者編 ☆★☆
●打棒炸裂する公立校の主砲
昨夏の開星戦で松江市営野球場の左翼最上段にある垣根までブッ飛ばした小竹恭兵(松江南)がスゴ味を増している。今春の立正大淞南戦でも通算21号を叩き込むなど、とにかく本番に強い。秋春の公式戦全4試合で2本塁打を含む5長打と火を噴いている。一発勝負の夏だからこそ、公立校の主砲に他校も厳重警戒だ。
春の王者・開星は大舞台を経験したことで、ますますオーラが強まってきた。先輩の黒田雅也(JFE西日本)を彷彿させる気迫溢れる1番・近藤一聖をはじめ、球を打ち抜く圧倒的なスイングで2ケタ弾をマークする瀬戸口恵大、福間塁の3、4番コンビからはパワーだけでなく執念も感じられる。
夏に向けて面白いのが大社の布陣だ。津和野戦で本塁打を放った2年生主砲・森口雄大らに加え、左右両打席で放り込める力を持つ2年生・上田晶と走攻守三拍子揃う1年生・小河英一郎の秘密兵器も準備を着々と整えている。
その他、右打者では夏の甲子園でも4番を張った泉勇太朗(石見智翠館)、春の公式戦で2本塁打をマークした石倉雅司(松江工)、一昨年秋から鋭い打球を連発する豊田隼也(益田東)らの力強さは目を見張るものがある。逆に左打者なら、広角に安打を打ち分ける吉川侑甫(松江商)、高い潜在能力を垣間見せる2年生の月森大介(出雲西)、今春に外野手越えを連発した渡邊智明(江津)らのシャープなスイングにも要注目だ。
▲小竹恭兵(松江南)
☆★☆ 大会展望 ☆★☆
●秋春の王者に大東が絡む三つ巴か
ともに強力な投手陣を形成するなど、総合力の高さに定評がある春の王者・開星と秋の王者・大社。さらに昨夏に続いて春も準優勝した大東が絡んでくる群雄割拠の戦いになりそうだ。ただ、昨夏はノーシードの石見智翠館が甲子園出場を決めたように、選手層の厚い立正大淞南や益田東などの私学勢が一気に駆け上がる可能性も十分にあり得る。さらに好左腕を擁する隠岐や出雲商、昨秋の中国大会で開星と大接戦を演じた出雲も力があり、どこが抜け出してもおかしくない。
地区勢力ピラミッド
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