先週は前代未聞の連敗にみまわれた。19日の西武戦、21日のソフトバンク戦で「2戦連続の延長戦12回サヨナラ負け」。
まるで昨年の5月14日、15日ロッテ戦の悪夢を思い出さずにはいられない痛恨の敗戦になった。2戦連続の延長戦となったそれらの試合では、松井裕樹がいずれもサヨナラ打を浴び、10年ぶりに9連敗の扉を開いてしまった。
ところが、今季の楽天は違う。ズルズルといくことがない。21日の試合の直後、ソフトバンクに連勝した。
22日は美馬学がチーム1番乗りの完投勝利を飾ると、23日は、試合直前に腰の痛みにより先発を回避した岸孝之の代役・戸村健次が好投。今季初登板のマウンドで6回途中無失点とゲームを作った。
今季の楽天は得点87に対し、失点63。投打がうまくかみ合っている。
「打」では2番から外国人選手3人を並べる超攻撃的な布陣が話題を呼び、「投」では7回・森原康平、8回・ハーマン、9回・松井裕で締める「新・勝利の方程式」がクローズアップされがちだ。
しかし、投打かみ合う大きな理由は、先制点を挙げたのが17試合中13試合と、勝ち試合の多くで先にペースをつかんでいることも見逃せない。
先手を取り、主導権を握ることができている背景には、先発投手の頑張りがある。
先発陣の防御率はリーグ3位の3.66。クオリティ・スタート率は4位の47.1パーセント。安樂智大と塩見貴洋を故障で欠き、則本昂大がWBCの後遺症で波に乗れずにいるなか、数字だけみると一見、首位を走るチームの投手成績にはふさわしくないようにみえる。
しかし、ここで注目すべきは、味方打線が序盤の2回まで16点を挙げるのに対し、投手陣が失点を6に抑えている点だ。
先発投手の役割の1つ、「相手に先制点を献上しない」という任務を、今季の先発陣は実践できている。なかでも、どんな投手でも難しい「立ち上がり」はここまで無失点。初回被打率.125、同被出塁率.197と完璧だ。
前述した23日ソフトバンク戦では初回に7試合ぶりとなるピンチを抱えた。
岸の代役で緊急登板した戸村が3番・柳田悠岐に安打と盗塁を許し2死二塁。打撃好調の4番・内川聖一は慎重な投球で一塁に歩かせたが、続く5番・デスパイネを打ち取った。
球を低めにしっかりコントロール。狙いどおりの投ゴロをデスパイネに打たせ、「開幕17戦初回連続無失点」を決めた。
初回に失点した試合の勝率を調べてみると、2015年は.343、昨季は.383と低かった。初回に点を失えば、その後の戦況はどうしたって苦しくなる。投打かみ合う鷲軍の快進撃には、初回を必ずゼロに抑える先発陣の頑張りも大きいのだ。
文=柴川友次
信州在住の楽天推しの野球好き。ノムさんの「ID野球」「弱者の兵法」に感化され、イーグルスに関するありとあらゆるデータの収集を実施しながら、ペナントレースを追いかけているデータ好きの野球ブロガー。2,500人以上にフォローされているTwitterアカウント