2008年(46本)、2009年(48本)、2011年(48本)、2012年(27本)、2014年(34本)、2015年(37本)と、現役最多の本塁打王6回を誇る中村剛也(西武)。
今季は、開幕から4番・三塁でスタメン出場し、全試合で安打を放つなど打撃の調子は決して悪くなかったのだが、なぜか8試合目まで本塁打ゼロ。12日に行われた9試合目の楽天戦でようやく一発が出た。
6回表の1死走者なしで打席に立った中村は、青山浩二の4球目に投じた落ちの悪かったフォークをしっかりとらえ、左中間スタンドへ。中村らしい滞空時間の長いアーチが今季1号となった。
勢いに乗って、9回表にも1死一、二塁から、今野龍太の初球をライナーでレフトスタンドへおかわり弾。この日をきっかけに量産態勢に入るに違いない。
故障者続出で厳しいチーム状態の日本ハム。本来は6、7番打者として相手に恐怖感を与えていたレアードが、11日のソフトバンク戦では来日3年目にして初となる4番に座った。緊急事態で、昨年の本塁打王に託さざるをえなかった。
しかし、実はレアードも試合にはしっかり出ていたものの、11日を終えた時点で打率.094。極度の不振にあえいでいる。
12日は、5回裏、1点ビハインドの展開から近藤健介のタイムリーで同点。なおも2死一塁から、レアードが武田翔太(ソフトバンク)の4球目を左中間スタンドへ放り込む逆転2ランを放った。
寿司を握るジェスチャーをしながらダイヤモンドを回ったレアードは、ヒーローインタビューで「今日から開店です!」と、自身とチームの巻き返しをファンに誓った。
横浜時代の2007年(36本)、2008年(46本)に2年連続で本塁打王を獲得している村田修一(巨人)。12日の広島戦では5回裏の1死二、三塁のチャンスに代打で登場。広島のドラ3ルーキー・床田寛樹から、レフトポール際にライナーで飛び込む今季の第1号を放った。
新加入のマギーにポジションを奪われた村田が見せた「意地の一発」と報じられることも多かったこのホームラン。
昨シーズンは、首位打者を獲得した坂本勇人に次ぐチーム2位の打率.302を記録し、全試合に出場。それにもかかわらず、開幕から代打稼業を命じられている村田の心中はいかばかりか。13年ぶりの代打ホームランが現状を変える契機となるかもしれない。
本塁打王の経験はないが、柳田悠岐(ソフトバンク)も同じ12日の日本ハム戦で、今季1号を放っている。
ようやく寒さも和らぎ始めたこの時期。主役となるべき強打者たちが動き出した。WBC疲れか、打撃に冴えが見られない昨季の本塁打王・筒香の第1号も間近だろう。
文=藤山剣(ふじやま・けん)