紅白戦、練習試合と打撃が絶好調なのが、7年目のシーズンを迎える中谷将大だ。
中谷は、2010年のドラフト3位で福工大城東高から入団。強肩強打の大型捕手として期待されていた。
しかし、2年目の2012年に打力を生かすために外野にコンバート。現在は一塁でも出場機会をうかがう。
高校時代は、1年先輩の梅野隆太郎(阪神)が絶対的な捕手として君臨。2年までは左翼手としてプレーしていたので、外野の守備経験はある。
昨シーズン、金本知憲監督は1軍の試合で若手を積極的に起用。中谷も64試合と1軍での出場機会を大幅に増やし、4本塁打、14打点、打率.266という結果でシーズンを終えた(2015年の1軍出場試合数は11試合)。
秋季キャンプでさらに力を蓄えた中谷は、この春季キャンプで、金本監督に「まるで打ち方が昨年とは別人」と言わしめるほど打棒に火がつき、実戦でブレイク。一気に右の大砲候補に上りつめてきた。
もう1名、右の大砲で注目すべき選手といえば陽川尚将だ。現在は、安芸の2軍キャンプで、掛布雅之2軍監督に4番候補としての英才教育を受けている。
元々阪神では「もっとも遠くに飛ばせる」といわれたスラッガー。その素材のよさを見せつけるかのように、2月9日の特打では175スイング中51本がオーバーフェンスと、脅威のサク超え率を記録した。
この時期のフリーバッティングでのサク越え本数は、さほど意味がないともいわれるが、スラッガーならサク越えしないよりは、した方がいいに決まっている。
また、12日の西武との練習試合では猛打賞でアピール。しかし、掛布監督からは本塁打が打てなかったことを指摘され、「本塁打率3割」という厳しい課題を与えられている。これも4番候補への期待の表れだ。
昨シーズンのウエスタン・リーグでは、本塁打王、打点王の二冠に加え、打率も3割超え。2軍の選手相手では、実力はすでに証明済み。このオープン戦で結果が伴えば、一気に1軍の4番へと上りつめることも夢ではない。
昨シーズン、ブレイクした原口文仁のようなシンデレラストーリーが再び見られるかもしれない。
2名の若き右の大砲が覚醒すれば、今シーズンの4番問題が解決するどころか、チーム全体の打撃力が一気に向上する。
キャンベルが日本の野球に馴染むまでには、少なくともオープン戦での1カ月間は必要だろう。この期間に、中谷、陽川の2人が実戦で結果を残せるか。
中谷と陽川が組む和製クリーンナップは決して夢物語ではない。実現すれば、優勝という二文字が現実のものとなるに違いない。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。