1991年、それまで「オリオンズ」を名乗って東日本を転々としていたチームが千葉へ移転。新しい本拠地が海辺にあることから、「海兵隊」を意味する単語を使ってチーム名も変更した。こうして生まれたのが千葉ロッテマリーンズである。
2度に渡るボビー・バレンタイン監督の招聘を経て、チームは徐々に強化され日本一も達成。川崎球場に閑古鳥が鳴いていたオリオンズ時代は今や昔、現在は「マリサポ」と呼ばれる熱い応援団に支えられる人気チームとなった。
このような外国人監督の起用、サッカー風の応援、そして「下克上」によるドラマチックな日本一と、ダイナミックなイメージのロッテだが、一方で落ち着いているものもある。選手の背番号があまり変わらないのだ。
まずはロッテのエースナンバーから考察しよう。代表的なところでは、先の村田兆治の「29」、伊良部秀輝と清水直行が背負った「18」、小宮山悟の「14」、黒木知宏の「54」が挙がる。
最初の3つの背番号は、西野勇士、藤岡貴裕、大谷智久といった投手に引き継がれているので、このまま次世代にバトンがつながることを願う。
唯一投手に渡らなかった「54」の、現在の主人はデスパイネ。
野手のスター番号といえば、まずは歴代のミスターロッテが背負った「6」になるだろう。落合博満、初芝清と生え抜きの内野手がつけていた番号で、初芝の引退後はしばらく準永久欠番扱いとなっていた。
その沈黙を破ったのが、2009年にメジャーリーグから舞い戻りロッテに入団した井口資仁である。当時のロッテは、西岡剛や今江敏晃には既に良番を与えていたし、ドラフト上位で内野手を獲得することが少なかったので、「6」に見合う選手がいなかった。そんな中での井口入団だけに、外様とはいえ渡るのは致し方無いところ。
ただ昨年のドラフトで、もしも今「6」が空いていたらつけていただろうと思わせる選手が入団した。1位で獲得した平沢大河だ。高卒の内野手のスター候補。まさにミスターロッテを継ぐ者と言える。
そんな平沢の背番号は「13」に決まった。ひと桁台の番号が今江の「8」しか空いていなかったという事情もあったと思うが、この背番号は、やはりアレックス・ロドリゲスのようなショートになってもらいたいという球団の願いが込められているだろう。
それにもしかすると、平沢が引退する頃には、ミスターロッテの背番号は「13」と言われているかもしれない。それほどの可能性を秘めた選手である。
冒頭で「ロッテはあまり背番号が変わらない」と触れたが、もちろん毎年何人かは変えられる。その中でも注目したいのは、2013年のオフに変わった鈴木大地と西野勇士。
鈴木は「35」から「7」への変更で、西岡のメジャー移籍でしばらく空いていた番号を与えられた。それと同時にチームのキャプテンにも就任するなど、とりまく環境が一変。かかるプレッシャーもそれまでの比にならないはずだが、大きなケガをせずにほぼ全試合に出場するなど、しっかりとリーダーとしての責を果たしている。
また西野は、「67」から「29」に変更。「29」と言えば、村田兆治の背番号である。
初芝の「6」しかり、西岡の「7」しかり、ロッテは1人の選手に同じ背番号をつけ続けさせることから、その選手が退団した時に、しばらく背番号を寝かせることがある。そういった面で見ると、背番号「8」は今江のFA移籍に伴って、しばし休養に入りそうだ。
そんな中で来季目覚めてほしいのは、里崎智也がつけていた背番号「22」。去年、今年と2年のブランクがあり、そろそろ新たな主を見つけてもらいたいところ。ただ「6」も「7」も3年の空白期間があったので、もう1年お預けだろうか。
文=森田真悟(もりた・しんご)