北北海道大会、南北海道道大会を目指して、熱気にあふれた支部予選が行われている。
7月1日、春季北海道大会を制した駒大苫小牧が、室蘭支部Bブロックの代表決定戦で静内を7対0(7回コールド)で下し、南北海道大会出場を決めた。
7月2日には、昨年の夏の甲子園で準優勝した北海が札幌南に11対5で勝利。札幌地区Fブロックの代表として南北海道大会にコマを進めた。
北海は、昨年の秋季大会、今年の春季大会と2季連続で北海道大会進出を逃していただけに一安心したことだろう。昨夏の旋風を再び起こせるか。
代表決定戦では5本塁打を放っただけに、消化不良だったエネルギーはまだまだ溜め込まれているはず。すべてを爆発させて2年連続の甲子園出場につなげたい。
また南北海道・函館支部Cブロックの代表決定戦では、部員14人の江差が躍動。函館ラ・サールを6対5で破って南北海道大会への切符をつかんだ。
昨年夏の代表決定戦では、同じ函館ラ・サールを相手に0対19と大敗した江差。この日も5対5で迎えた9回表、1死三塁のチャンスでスクイズ失敗するなど嫌な雰囲気もあったが、延長10回表に1点をもぎ取り、勝利。土壇場で踏ん張った。
リベンジと支部予選の突破を同時に果たした江差ナインの顔は、嬉し涙でくしゃくしゃに。悲願だった南北海道大会でも、この粘り強さを見せられるか。
沖縄と北海道に次いで7月1日に幕を開けた鹿児島大会。開会初日の1回戦では、過去に連合チームの一員として力を合わせた高校同士の対戦が行われた。
それは市来農芸と鹿児島第一の一戦。もともと両校は川薩清修館を加えた3校で連合チームを組み、昨秋と今春の鹿児島県大会に出場していた。
しかし、市来農芸が4月に新入部員を迎え、部員数が10人を超えたことで連合を解消。この夏にいきなりの対戦が決まり、力を合わせた仲間が、今度は倒すべき相手となってしまったのだ。
試合は市来農芸が7対6で勝利。市来農芸の好プレーには鹿児島第一ベンチから「ナイスキャッチ!」という声が聞かれたという。これぞ、さわやかな高校球児!
仙台育英が優勝候補筆頭に挙がる宮城大会だが、7月16日に登場する涌谷にも注目したい。というのも、チームを率いるのが東北地区初の女性監督なのだ。
前任監督が3月に異動したことで、今年の4月からチームを任されることになった阿部奈央監督。阿部監督自身は中学時代にソフトボールで汗を流し、高校時代は野球部のマネージャーとして活動するなど、学生時代から白球に触れていたという。
阿部監督は春の東部地区予選でも2試合で指揮を執ったが、いずれも敗戦。それだけに選手ともども1勝へかける思いは強いはずだ。
過去の女性監督を見ると、昨年の夏の西東京大会では、東京電機大高を率いた市川麻紀子監督が就任6年目で初勝利を挙げた。阿部監督も今夏に勝利を収められれば言うことなしだが、「継続は力なり」という気持ちで取り組んでほしい。
ここからは7月2日に行われた強豪の練習試合情報を伝えていく。
まずは、大阪桐蔭と東海大相模の練習試合から。甲子園に出場すれば優勝候補に挙げられる両校。今夏の甲子園決勝と言われてもおかしくないこのゴールデンカードは、大阪桐蔭が4対2で逆転勝利を飾った。
7回まで4安打と抑えられていた大阪桐蔭だったが、0対2で迎えた8回に2点タイムリーヒットと東海大相模のエラーで逆転。お家芸の「粘って粘って終盤勝負」を実現させた。
春のセンバツ王者と他地区の強豪との試合は「プレ甲子園」のようなおもむきもある。次は聖地で相見えることになるか。
プロ注目右腕の本田仁海(3年)を擁し、神奈川のダークホースと目される星槎国際湘南が桐蔭横浜大と練習試合を行った。
星槎国際湘南は本田が先発。初回に3点を失ったものの、その後は修正して1失点。甲子園経験者を含む大学生相手に9回を投げ切った。
試合は0対4で敗れたが、目前に迫った初戦に向けていい手応えをつかんだ模様。どこまで勝ち進むのか見届けたい。
この日は、花咲徳栄と横浜という昨年の夏の甲子園出場校による練習試合(2試合)が行われた。
プロ3球団のスカウトも訪れるなか、1試合目に登板した最速149キロ右腕・清水達也(花咲徳栄、3年)は、140キロ後半のストレートを軸に、新しい球種も試しながら、5回を6安打6三振の2失点。上々の投球を披露した。
清水とともにドラフト候補に挙がる花咲徳栄の西川愛也(3年)も、1試合目に3安打4打点と爆発。ランニングホームランを放つなど、ハツラツとした動きを見せた。
花咲徳栄は3年連続となる夏の甲子園出場がかかっている。埼玉にはライバルの浦和学院など手ごわい相手が多いが、チームの原動力となる2人が万全なら3年連続出場も近づくはずだ。
ちなみに練習試合の結果は、1試合目は14対9で花咲徳栄に、2試合目は9対0で横浜にそれぞれ軍配が上がった。なお、横浜のドラフト候補・増田珠は2試合目にバックスクリーンに放り込む一発。こちらも実力を見せつけた。
気がつけばもう7月。一気に夏の甲子園に向けた地方大会の花が開く。
その前哨戦の練習試合で勝ったチームはその勢いのまま、敗れたチームは修正を加えながら夏の戦いに挑んでほしい。
負けたら終わりのトーナメントだけに、ヒリつくような試合の連続だが、決して悔いだけは残さないように……。
(成績、結果は7月3日現在)
文=森田真悟(もりた・しんご)