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【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目

文=落合初春

【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目
 神戸市兵庫区平野から北へと進む兵庫県道15号神戸三田線。通称・有馬街道。神戸市北区に繋がる大動脈だが、そこは対面通行の峠道。アップダウンの激しい峠が続き、馬力自慢の車が増えてくる。

 そんな有馬街道を神戸市兵庫区平野から北へ車で15分。北鈴蘭台の小部(おうぶ)峠の頂上に校舎を構えるのが、神戸弘陵だ。

一目で惚れる立派なケツ!


 現役のプロ野球選手では山井大介(中日)、飯田優也(阪神)を輩出している同校。近年では、2017年にオリックスに育成2位で入団した東晃平など、中学軟式出身の球児が多く活躍している。

 今年も有馬街道に相応しい馬力自慢の好素材が現れた。その名は山河楓(やまかわ・かえで/三塁手/右投右打/3年)だ。

 春先の練習試合。その姿に一目惚れしてしまった。183センチ86キロ。数字にするとインパクトは薄れるが、神戸弘陵の試合を見た者はまず山河の尻に目を奪われるだろう。太ももからお尻にかけてのサイズが明らかに規格外。上半身もなかなかガッチリしているが、下半身がとにかく太い。

 例えるならば、ガンダムシリーズに登場するガンタンク……!

 打っても見た目通りのハードヒッター。芯で捉える能力が高く、三塁手はおろか遊撃手のグラブを弾き飛ばす強襲ヒットもこの目でしかと見た。

「危険なのでバスターのサインは絶対に出せません」(岡本博公監督)

 しかも、動けない巨漢タイプではない。投げては最速138キロの強肩で足も遅くはない。「よくこの体を操れるなぁ」と思わせる馬力感。現在のベスト体重は85キロ前後というが、上半身はまだまだ盛ることができる。この先、ベスト体重ももっと増えてくるだろう。伸びしろを感じざるを得ない圧倒的な野球体型だ。

【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目
【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目

伝説の指標である校舎越えもクリア


 神戸弘陵のグラウンドは両翼95メートル、中堅110メートル。左中間、右中間に膨らみはなく、本塁打はそこそこ出やすい。しかし、外野フェンスの先には4階建ての校舎がそびえ立っている。きれいな放物線で校舎を越えれば、推定130メートル超の特大ホームランだ。

 いわゆる「超高校級スラッガーの壁」。かつて神戸弘陵からプロ入りした選手たちは数々の伝説を残している。最も有名なのは、出口雄大氏(元ソフトバンクほか)。センター奥の校舎の最上部、赤いレンガ(グラウンドと校舎の写真参照)にぶち当てたという伝説は今も語り継がれている。1996年にドラフト1位で西武に入団した玉野宏昌氏も校舎越えを連発した一人だ。

【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目

 もちろん、山河もすでに実戦での校舎越えを達成済み。さらに異質なのは、打撃の対応力だ。同校OBで1999年のセンバツでは4番を務めた岡本監督も舌を巻く。

「僕も現役時代に校舎越えのホームランを打ったことはあるんです。ただ、球種とコースを絞って絞って、フルスイングで、力でねじ込む感じでした。ただ、山河は来た球に対応して持っていけるんです」

 外角の球も苦にしない。広角にも打球がグングンと伸び、球場でも軽々とライトスタンドに放り込む。かといって内角にくれば、火を噴く危険なライナーが飛び出す。高校通算35本塁打。あと数カ月でまだまだ伸びるだろう。そんな山河もあまりの打球速度で校舎の強化ガラスを突き破るという伝説を作っている。

 さらに対戦相手にとってやっかいなのは、昨年の秋、チーム事情から捕手にコンバートされたことだ。配球の知識を得て、読みの打撃もできるようになった。

【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目

優しさがあふれ出るキャラクター


 ここまでの記述を見ると、いかついスラッガーを想像してしまうかもしれない。しかし、山河本人は拍子抜けするほど優しい好青年だ。いつもニコニコ。人懐っこく笑っている。

 トレードマークは太いマユ毛。あまりにも優しそうに見えるため、視察に訪れたあるスカウトは「マユ毛を剃らせた方がいいんじゃないか」と岡本監督に進言したほどだ。

「マユ毛は剃りません。入学したときに(副部長の)清水先生に『マユ毛を剃ったらお前じゃない』と言われたので、夏までは絶対に剃らないつもりです」

 あどけなく笑う天真爛漫さがまたいい味を出している。

「中学時代は本気でシェフを目指していて、よく自分で料理をしていました」

 1年生の弟・山河斗真も「炒飯とかオムライスとか上手です!」と太鼓判を押す。現在は体重をある程度絞っているため、食事は丼2杯程度だが、本当は5杯はいけるという。野球選手に必要な食べる才能も備えている。

 また明るいキャラクターはチームのムードを盛り上げる。チームメートに山河の印象を聞くと「エゲツない!」「バケモノ!」から始まり、「落ちているものでも食べる」「足が臭い」と徐々にイジり倒す方向に。3年生は決して認めなかったが、下級生に話を聞くと「山河さんはメチャ優しい」と口を揃えた。いつも人の輪ができるタイプだ。

 第一印象はのほほんとしているが、受け答えはしっかりしており、頭の回転は速く感じた。高橋淳平部長もハッと驚く場面があったという。

「日本史の授業で『霜月は何月?』という話題になったのですが、みんなわかりませんという雰囲気のなかで、山河がパッと『11月です』と答えたんです。すぐに笑いにもっていってしまいますが、中学や高校の授業で習ったことは頭の引き出しに入っている。ノートも丁寧に取っていますし、頭は悪くないと思います」

 チームメートの三條嘉暉によると「漢字も得意」とのこと。確かに弟の名前の漢字を聞いたとき、即座に「生田斗真の“とうま”です。北斗の斗に真実の真です」とサラッと答えてくれた。

 プロ一本を明言する有馬街道のガンタンク。「気は優しくて力持ち」を体現する好素材・山河楓の名をぜひ覚えておいてほしい。

【ドラフト候補インタビュー】有馬街道のガンタンク・山河楓(神戸弘陵)ド迫力のお尻と打球速度に注目

取材・文=落合初春(おちあい・もとはる)

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