オリックスのキャンプを訪れた評論家の多くが「田嶋はいい」と漏らす。昨秋のドラフト1位でJR東日本から入団した田嶋大樹だ。
スリークオーターの左腕で、最速150キロ超のストレートに加えて、カットボール、カーブ、スライダー、チェンジアップを駆使する。
初の実戦形式のマウンドとなった2月22日の紅白戦では、マレーロ、伊藤光にタイムリーを浴び2回を4安打2失点と打ち込まれたが、ストレートの最速は148キロを記録。素材のよさは確認できた。
4日にはDeNAとのオープン戦に先発。パ・リーグ相手には投げさせたくないと首脳陣が示唆していた通り、初の対外試合はセ・リーグの球団が相手となった。先発のマウンドを踏んだ田嶋は、3回2/3を投げて3安打、1奪三振、3失点(自責点1)。最速は150キロをマーク。しっかりと調子を上げてきた。
昨季のオリックスの先発左腕で、最も勝利数を稼いだのは松葉貴大の3勝(12敗)。先発ローテーション入りへの期待は高い。
25年目にして、古巣の西武に復帰した松井稼頭央が元気いっぱいだ。キャンプでは連日、特守に参加。15年ぶりにライオンズブルーのユニフォームに袖を通した42歳のベテランが、まだまだ動けることをアピールしている。
メジャーから復帰し、楽天には2011年から7年間在籍したが、直近の2年間の出場試合数は、56試合、44試合とかなり減っていた。西武でもバリバリのレギュラーで出場、というのは難しいだろうが、ユーティリティープレーヤーの渡辺直人が入れ替わるように楽天に移籍したこともあって、内外野を守れる松井がベンチにいると心強い。
テクニカルコーチを兼任する松井は、後輩たちに背中で教えるだけでなく、より細かいアドバイスも送りやすい立場。その存在感をオープン戦から示してほしい。
ソフトバンクの工藤公康監督が、春季キャンプのMVPとして甲斐拓也とともに名前を挙げたのが、楽天からトレード移籍の西田哲朗だ。4試合の紅白戦のうち3試合で安打を放っただけでなく、全力で練習に取り組む姿勢も評価されての「受賞」となった。
楽天時代の西田は遊撃を中心に内野のユーティリティープレーヤーとして貢献。2014年には131試合に出場したが、その後は出場機会が減っていた。
現状、ソフトバンクの内野で絶対的なレギュラーが不在なのは二塁のみ。その本命候補だった明石健志は、2月27日に腰痛で緊急搬送される事態に。チームとしては痛手だが、ポジション争いはさらに激化することになる。
キャンプでのアピールに成功した西田が、オープン戦でどこまで存在感を発揮できるか。注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)