テレビ局、ラジオ局、新聞社、通信社などで5年以上の現場取材経験があるプロ野球担当記者によるインターネット投票で決められるのが、ゴールデン・グラブ賞だ。
パ・リーグの投票権を有しているのは252名で、今回はそのうちの248名が各部門の投票に参加した。パ・リーグで、とくに激戦だったポジションは、二塁手と外野手だ。
パ・リーグの二塁手部門は三つ巴の争いとなり、接戦を制して受賞したのは87票を獲得した藤田一也(楽天=写真)だった。2位が田中賢介 (日本ハム)で68票、3位には浅村栄斗(西武)で60票と続いた。
各部門のトップが100票に届かなかったのはこの二塁手部門だけ。それだけこの3選手が拮抗していたということだ。
パ・リーグの二塁手で、守備率がもっともよかったのが藤田だ。先発で108試合、途中出場で11試合と、守備についた試合数は少なめながら、ボールに触れる機会の多い二塁手で4失策は上々の成績といえる。
チームは5位と振るわなかったにもかかわらず票が集まったということは、藤田のよいイメージがかなり浸透している証だろう。
得票数上位3名が選出される外野手部門。パ・リーグ1位は秋山翔吾(西武)で194票、2位が陽岱鋼(日本ハム)で154票、3位には糸井嘉男(オリックス)で89票。以上3名が受賞となり、4位は柳田悠岐(ソフトバンク)で82票、5位が西川遥輝(日本ハム)で81票。3〜5位はいずれも80票台の接戦だった。
なお、パ・リーグの外野手には、規定試合数以上で守備率10割(=無失策)の選手が、秋山、栗山巧(西武)、島内宏明(楽天)と3人も存在した。
しかし、今回の得票数と順位は、秋山こそ上記のようにトップ当選を果たしたものの、栗山は9位で8票、島内は10位タイで6票。一方で、得票数3位だった糸井は外野手リーグワーストの6失策を犯している。このあたりが記者投票で決まるゴールデン・グラブ賞の不条理かつ面白いところでもある。
ちなみに、栗山は2014年も失策0ながら24票(外野手部門7位)、2015年は失策1で21票(同6位)だった。長年、西武の主力として活躍しながらオールスターゲームは今年が初めてだったように、どこか地味なイメージがある。
今オフには、FA宣言し残留を決断、西武に骨を埋める覚悟を固めた。来季こそは、持ち味の堅実さに加えて、魅せる守備でさらなる票を集め、ぜひとも2011年以来2度目のゴールデン・グラブ賞を獲得していただきたい。
史上初の快挙も達成された。三塁手部門は松田宣浩が4年連続5回目、遊撃手部門は今宮健太が4年連続4回目で、いずれもソフトバンクの選手の受賞となった。
同一チームの三遊間が4年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得するのは、2000年から2002年にヤクルトの三塁手・岩村明憲、遊撃手・宮本慎也が記録した3年連続を上回る新記録となった。
松田と今宮は来季も鉄壁の三遊間をキープし5年連続受賞となるか!? 来季も目が離せない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)