【この記事の読みどころ】
・神奈川大会開幕! 東海大相模の相手は?
・希にみる野球一家の「原家」
・ついに見つけた東海大相模と原巨人の因縁とは?
神奈川大会は7月11日に開幕した。すでに県内全12会場で連日熱戦が繰り広げられており、28日の決勝戦まで、高校野球ファンにとっては見逃せない戦いが続く。
今大会の優勝候補の筆頭に挙げられる東海大相模は、第1シードのため、初戦は16日(横浜スタジアム)の予定。7−6で岸根を下した足柄との対戦が組まれている。
まだまだ若い選手たちが死力を尽くして戦う高校野球では、番狂わせも珍しくない。そうはいっても、東海大相模の戦力を見てみると、同校が本命視される理由もうなずける。
とくに、右の吉田凌と左の小笠原慎之介の投手2枚看板は、ドラフト上位候補として名前が挙がる全国レベルの好素材だ。
吉田は得意とするタテのスライダーに加えてカーブも習得し、昨夏からワンランク上への成長を遂げた。小笠原も左腕からコーナーに投げ分けられるコントロールがあり、マウンド度胸も抜群。両投手とも140キロ超のストレートを常時投げられる基礎能力にプラスして、この持ち味である。勝負どころでは吉田−小笠原というリレーが予想されるが、相手チームにとっては手強いこと、この上ないだろう。
というわけで、この1週間でまだ東海大相模の試合がないため、引き続き「東海大相模vs.原巨人」というテーマに突っ込んで迫ってみる。
前回は、東海大相模と巨人の関係、とりわけ「原家」のスゴさを紹介した。三池工、東海大相模の監督を務めて全国優勝を果たした貢氏、選手と監督として長きにわたって巨人のユニフォームを着続けている辰徳氏、さらには、いまやチームの大黒柱に成長したエース・菅野智之(辰徳監督の妹の息子)と、野球に関しては異能を発揮する血が綿々と続く野球一家「原家」。
商家などでよく「名家三代続かず」(初代が成功しても、二代目、三代目でそれをつぶしてしまうことが多い)ということわざが使われるが、野球界に当てはめてみても、二代続けば万々歳。原家ほどの「名家」はちょっと見当たらない。もはや、奇跡的な一家なのである。
そんな東海大相模と原巨人。両チームの成績を振り返ってみると、意外なリンクがあった。
2002〜2003年の第1次、2006年以降の第2次を合わせて、11年間(今季が12年目)巨人の指揮をとっている原辰徳監督。その間に母校・東海大相模は2010年と2014年の2度、夏の甲子園に出場しているが、その年の原巨人のシーズン成績は、というと、どちらもCS(クライマックスシリーズ)のファイナルステージで散っているのである。
2010年はレギュラーシーズン3位からCSへ。敵地・甲子園で阪神に2連勝し、ファイナルステージに進むも、ナゴヤドームで中日と対戦して1勝3敗。日本シリーズへの出場を阻まれた。
2014年は、2位に7ゲーム差をつける独走で、レギュラーシーズンを制したにもかかわらず、東京ドームで阪神に4連敗を食らう、というまさかの展開。あえなく終戦となった。
今季のセ・リーグは歴史的な大混戦となっており、7月13日の時点で首位に立っている巨人だが、まだまだ予断を許さない状況。
しかし、このジンクスに当てはめれば、東海大相模がこの夏の予選を勝ち進み、甲子園出場に近付けば近付くほど、原巨人の日本シリーズ出場は遠のくことになる。
まぁ、決定的な「根拠」があるわけでもなく都市伝説に近い話ではあるが、事実は事実。2度あることは3度ある? それとも、3度目の正直? 巨人ファンならずとも、東海大相模の動向は非常に気になるところだ。
来週は、東海大相模の予選での戦いぶりをお伝えします! まさか、敗退している!? なんてことはない……と信じたい。
■ライター・プロフィール
藤山 剣/1970年生まれ。元高校球児(軟式)。出版社勤務を経てフリーに。多くの野球関連の書籍や雑誌の制作だけでなく、他に情報誌や競馬誌にも携わる。