佐々木は、プロデビューとなった4月6日の日本ハム戦こそ5回1失点で勝ち投手になったものの、その後は不安定な投球ばかり。ルーキーが先発ローテーションに入って投げていたことは一定の評価ができるが、7月5日までの11試合で2勝7敗、防御率5.61。あえなく2軍落ちとなってしまう。
広背筋を痛めたこともあり、2軍ではじっくりと投球フォームから見直す。それが功を奏したか、約2カ月ぶりの1軍マウンドとなった9月13日の日本ハム戦では9回を1失点に抑え、自身初の完投勝利をマーク。それも含めて復帰後は先発3試合、リリーフ1試合に登板し、26イニングでわずか自責点3、防御率1.04、先発で2勝と見違えるピッチングを披露した。
好投の要因のひとつは、球速をやや抑えて、コントロールを重視することで不用意な四球が減ったこと。この経験を糧にできれば、来季以降、秘めたるポテンシャルがさらに開花する可能性は十分だ。
シーズン序盤はリリーフ起用だった酒居も、5月に2軍落ち。その間、イースタンで13試合に登板し修行を積み、再昇格を果たした8月以降は先発として9試合に起用され5勝1敗、防御率2.86と、ひと回り成長した姿を見せた。
9試合のうち、100球に満たずにマウンドを降りたのは1度だけ。6試合で110球以上投げていて、5勝のうちの2つは完投で挙げたもの。体力も十分にある。
ストレートは140キロ台後半で、そこにスライダー、カーブを織り交ぜ、決め球はフォーク。強いチーム、好打者ほど燃えるという強心臓タイプだけに、来季、巻き返しを誓うチームにとってはもってこいのメンタルを備えた投手と言える。
シーズン序盤から最下位をひた走り、貧打がクローズアップされることが多かったロッテだが、チーム防御率はリーグ唯一の4点台と、投壊状態にも陥っていた。その中で先発ローテーションを守った涌井秀章はFA権を行使して移籍が濃厚と伝えられている。それだけに、しっかりとした先発の柱が必要不可欠だ。
来季が2年目となる、佐々木と酒居が、今季後半のような内容で年間を通してローテーションを務めることが、ロッテ浮上のカギになる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)