1次ラウンドの初戦で対戦するキューバ。1次ラウンドで対戦する3カ国のなかで最も実力上位の強敵だ。過去3回のWBCでは毎回対戦しており、日本の3勝1敗と相性はいい。しかし、前回大会では第1ラウンドで日本が敗北するなど決して侮れない。
2006年の第1回大会では決勝で対戦。当時のキューバにはグリエル(現アストロズ)、セペダ(元巨人)、「キューバンミサイル」ことラミレス(現レイズ)らが揃っており、実力は伯仲。日本は乱打戦の末に10対6で勝利し、初代チャンピオンに輝いた。
2009年の第2回大会では世界最速の球速を誇るチャップマン(現ヤンキース)、セスペデス(現メッツ)、デスパイネ(元ロッテ)、アンダーソン(元巨人)らが集い、第1回大会よりも豪華なメンバーが顔を揃えた。しかし、日本は2連勝と寄せつけなかった。
前回の第3回大会ではデスパイネに3ランホームランを浴びるなど打ち込まれ、3対6で日本は完敗。しかし、キューバは第2ラウンドでオランダに敗れ、決勝ラウンド進出はならなかった。
近年のキューバは有力選手が亡命しメジャーリーガーとなっているため、代表選手にスター選手を招集できず苦しんでいる。とはいえ、1次ラウンド最大の難敵であることは間違いない。油断大敵だ。
「野球発展途上国」の中国。WBCでの対戦成績は日本の3戦全勝。しかし、第1回大会からの試合スコアを見ると18対2、4対0、5対2と徐々に点差が詰められており、中国が急速に力をつけているのがうかがえる。
今回の中国チームにはメジャーリーガーと元メジャーリーガーが4選手参加予定。投手陣ではチェン(元ロイヤルズほか)、ウォーリー(現ナショナルズマイナー契約)、ブライス(マーリンズ)の3名が招集される見込みとなっている。
チェンはパナマ出身の中国系パナマ人でメジャー通算82勝を挙げており実績はナンバーワンだ。2015年で現役を引退しておりブランクがあるが、対戦することになったら用心してかかりたい。
野手陣ではカージナルスの二塁手・ウォンが出場予定。ウォンはレッドソックスと対戦した2013年ワールドシリーズで、上原浩治(現カブス)の牽制に刺されてゲームセットとなった際の走者だった。そのため、たびたび日本のニュースでも取り上げられており、馴染みがある選手だ。
また、中国を率いるマクラーレン監督もメジャーリーグでの指揮経験がある。これまでは「格下扱い」だったが、今回は簡単に勝たせてはくれなさそうだ。
過去3回のWBCで、日本はオーストラリアとの対戦経験がない。ただ、2004年のアテネ五輪では予選と準決勝で2度対戦して2連敗。決勝進出を阻まれた苦い思い出がある。
今回のオーストラリアチームでは、2015年にヤクルトに在籍したデニング、2014年に楽天に在籍したブラックリーと、NPBを経験した2選手の出場が濃厚。また、メジャーリーガー、メジャー経験者ではヘンドリックス(アスレチックス)、ローランドスミス(元ダイヤモンドバックスほか)、モイラン(ロイヤルズFA)、サーポルト(タイガース)らの出場が予定されている。
メジャーで大きな実績を挙げている選手はいないが油断はできない。NPB経験者のデニング、ブラックリーからは日本の情報がチームにもたらされるだろう。
また、11月に行われたWBSC U-23ワールドカップでは日本に次ぐ2位につけている。そして、U-18世代もオセアニア予選を勝ち抜き、今夏に行われるワールドカップに出場予定だ。
各世代ともに力をつけてきているオーストラリアにも注意して臨みたい。
文=勝田 聡(かつた・さとし)