侍ジャパンU-18チームのなかで、最も動向を注視されているのは清宮幸太郎(早稲田実)だろう。今夏の甲子園には出場できなかったものの、西東京大会中は最多タイの107本塁打を放つなど、スポーツメディアの話題を独占。まだ去就は明らかにされていないが、プロ志望届を出せばドラフト1位指名は確実だ。各球団のスカウトも徹底マークを続けている。
清宮は1年時にも代表入りを果たしており、今大会ではただひとりの大会経験者でもある。その経験も買われ、主将を任された。
主将としての期待を背負った清宮は、大会に向けての大学生との練習試合で2戦連続の本塁打を放つなど調子は上々。高校通算本塁打数を最多の109本塁打に伸ばし、大会が行われるカナダのサンダーベイへと向かった。
練習試合では金属バットから木製バットへの変化にも問題なく対応した清宮だが、大会でどのような活躍を見せるのだろうか。
清宮とともに1年時からスラッガーとしての注目を浴び続けてきた男がいる。「西の横綱」と称される安田尚憲(履正社)だ。今年のセンバツでは打率.412(17打数7安打)1本塁打、3打点と活躍。決勝で大阪桐蔭に敗れたものの、高校球界きってのスラッガーぶりを存分に発揮した。
最後の夏は大阪大会でまたしても大阪桐蔭に敗退。甲子園出場はならなかったが、日本代表に選出された。先日の練習試合では清宮に負けじと初戦で2本塁打。清宮とのアベック弾を決めた。
この試合で清宮は1本塁打。試合後に安田は「今日は自分の勝ちですね」と笑顔でコメントを残した。「打順はこだわらない」と言うが、胸の内に秘める闘争心は高ぶっているはずだ。清宮だけでなく、甲子園で名を上げた中村にも負けるつもりはないだろう。
1985年夏の甲子園でPL学園の清原和博(元西武ほか)が記録した1大会5本塁打。その記録を中村奨成(広陵)が32年ぶりに塗り替えた。中村は本塁打記録だけではなく、1大会最多となる17打点を挙げ、19安打、43塁打、6二塁打、5度の猛打賞と数々の記録を打ち立て準優勝。「プロ一本」と明言した上で日本代表に遅れて合流した。
その合流初日、初対面の清宮に「かっこよかった」と褒められた中村。遅れて合流したものの、チームに溶け込んだようだ。右打ちで足もある中村を、左打ちの清宮、安田とどのように組み合わせた打線を組むのだろうか。
U-18ではあるが侍ジャパンに変わりない。ドラフト候補たちが連なる夢の打線で、初の世界一をつかみ取ってほしい。