日本ハムの木佐貫洋が9月30日に引退を表明、球団事務所で会見を行った。鹿児島の川内高から亜細亜大を経て、2012年秋のドラフト自由獲得枠で巨人に入団した木佐貫。
ルーキーイヤーは10勝7敗で新人賞を獲得。その後はオリックス、日本ハムと渡り歩いた。通算成績は、9月30日のロッテ戦で1イニングを三者凡退に抑えたラストピッチも含め、215試合に登板し62勝72敗だった。
昨年がわずか5試合の登板(1勝3敗)にとどまり、背水の陣で臨んだ今シーズンだった木佐貫。結局、戦力として1軍から呼ばれることはなかった。
若手を積極的に使うチームの方針もあったとはいえ、木佐貫のファームでの成績は、16試合に登板し0勝6敗、防御率7.627。2軍の選手を相手にこの内容では、首脳陣も昇格のタイミングを見出せなかったのかもしれない。
木佐貫と言えば、1980年5月生まれのいわゆる「松坂世代」だ。ここ最近はOVER40のベテランの引退表明が毎日のように報じられているが、松坂世代からも、森本稀哲(西武)、山崎浩司(楽天)がユニフォームを脱ぐ決意を明らかにしている。
松坂世代メンバーも、もう34〜35歳となり、年齢的にはベテランの域。これまでに100人近いプロ野球選手を送り出しているゴールデンエイジではあるが、2015年の開幕時点でNPBの現役日本人選手は28人。その中でシーズンを通して出場し、なおかつ一定の成績を残したのは、セットアッパーとして奮闘するDeNAの長田秀一郎(44試合登板で防御率2.11)、内野のユーティリティープレイヤーとして貴重な存在の広島の木村昇吾(70試合出場で打率.270)、西武の渡辺直人(82試合出場で打率.271)ぐらい。
他に挙げるとすれば、数字は物足りないが巨人の村田修一(100試合出場で打率.235)、シーズン中盤からの合流ながら6勝を挙げたヤクルトの館山昌平といったところまでで、看板選手であるソフトバンクの松坂大輔が今季登板なしに終わったように、故障等もあって満足な数字を残せていない選手がほとんどだ。
ここから年末にかけて、この世代の中から苦渋の決断をせざるを得ない選手がさらに出る可能性はある。残り少ない今シーズン、ベテランプレイヤーたちの一挙手一投足を目に焼き付けておきたい。
(成績は9月末まで)
文=藤山剣(ふじやま・けん)