長谷川晶一氏といえば、『野球太郎』で毎年掲載している「プロ野球12球団ファンクラブ全部に入会してみた」でおなじみ、世界でただひとりの「12球団ファンクラブ評論家(R)」だ。2014年にはその成果をまとめた『プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!』(集英社)を発売。野球界以外からも「とんでもない男がいた!」と大きな注目を集めた。
そんな長谷川氏が今回テーマにしたのが、タイトルにある通り、“パ・リーグ”の“野球以外”だ。
「ボブルヘッド」「選手プロデュース弁当」「チアリーダー」「球場アメニティ」「球場スタッフ」「マスコット」……とさまざまな“野球以外”を見比べ、食べ比べ、買い比べて一冊にまとめた、野球界の奇書と言っていいだろう。
さて、ここでは、交流戦で参考にしたい「球場比較」について掘り下げてみたい。「Chapter4:そこは快適な夢の空間か? ボールパークのアメニティ」と題して、パ・リーグ本拠地6球場の最新設備、オススメシートなどが紹介されている。
詳しくは本書を手にとって確かめていただきたいが、中でもマニアックな情報として、各球場の「最寄り駅からの分数・歩数」と「トイレメーカー」が記されている点がある。その部分だけ引用させていただこう。
札幌ドーム
地下鉄福住駅から徒歩18分、1777歩/パナソニック製
楽天Koboスタジアム宮城
JR宮城野原駅から徒歩7分、779歩/LIXIL製
QVCマリンフィールド
JR海浜幕張駅から徒歩18分、1723歩/INAX製
西武プリンスドーム
西武球場駅から徒歩3分、165歩/TOTO製
京セラドーム大阪
地下鉄ドーム前千代崎駅から徒歩5分、403歩(他にも3つの最寄り駅あり)/INAX製
福岡ヤフオク!ドーム
地下鉄唐人町駅から徒歩12分、1686歩/TOTO製
ちなみに、この分数と歩数はすべて著者である長谷川氏の計測によるもの。実際に球場まで歩いてみて、その違いを比較してみるのも一興といえる。長谷川氏自身、球場オフィシャルの情報との違いなどを紹介していておもしろい。
もちろん、こういった考察はほんの一例。ほかにもさまざまな、パ・リーグの今、が考察されている。本書を詳しく読んでいけば、長谷川氏がトイレにこだわる理由もわかるはずだ。
球場といえば、先日、日本ハムが自前球場の建設計画を公表したばかり。本書でも、自前球場であるかどうか、もしくは球場の指定管理者になることでどんなメリットがあるか、といった真面目な考察がなされている。交流戦を機会に、そして今回の日本ハム球場移転問題を機に、「プロ野球の球場は今、どうなっているのか?」「今後どうなるのか? どうあるべきか?」を考える上でも、まさに最適な一冊といえるのではないだろうか。
なお、今月16日発売予定の雑誌『野球太郎No.0 19』でも、長谷川氏による「プロ野球12球団ファンクラブ全部に入会してみた」2016年版が掲載される。「12球団ファンクラブ評論家(R)」による、最新ファンクラブ情報が満載。もちろん、セ・リーグの情報も網羅している。ぜひ、こちらも楽しみにしていただきたい。
文=オグマナオト/野球太郎編集部