阪神の藤川球児が、8月28日のヤクルト戦の9回にリリーフとしてマウンドに上がり、通算600登板を達成した。
プロ野球史上39人目、現役では中日の岩瀬仁紀(900登板)、ソフトバンクの五十嵐亮太(700登板)、巨人の山口鉄也(611登板)に次ぐ4番目の記録となる。
藤川はメジャー・リーグでも、カブス(2013〜2014年)で27登板、レンジャーズ(2015年)で2登板を記録しており、それを加算すればトータル629登板。日本歴代では29位に相当する。
藤川は、1980年7月21日生まれの36歳で、いわゆる「松坂世代」だ。多くの選手がプロ野球界で活躍していたこの黄金世代だが、2016年シーズンもチームの主力としてきっちり結果を出しているのは、先発として抜群の安定感を誇り14勝4敗の好成績を残す和田毅(ソフトバンク)と、打率.298、18本塁打の村田修一(巨人)くらい。
ほかでは、15試合に登板し5勝8敗の久保康友(DeNA)、内野のスーパーサブとして貴重な働きを見せている渡辺直人(西武)、右の代打として常にベンチで待機する矢野謙次あたりが目につく。この世代の現役日本人選手は25人となったが、多くは故障がちだったり、若手の台頭などで出番が激減しているのが現実だ。
そんな周囲の動向を踏まえれば、先発、中継ぎ、抑えだけでなく、ときには敗戦処理に近いような場面まで、あらゆる状況での起用に応え38試合に登板し5勝5敗3セーブの藤川は、頑張っているといっていいだろう。
たしかに、2012年までのNPBでの12年間の通算防御率が1.77の藤川にすれば、今季の防御率4.50は物足りない数字ではあるが……。
かつて、「火の玉ストレート」と称され、150キロを優に超える豪速球で相手打者を牛耳ってきた藤川。年齢やトミー・ジョン手術の影響もあって、さすがに全盛期の球威に戻っていないものの、600試合登板達成の試合で、最後の打者・山田哲人(ヤクルト)をライトフライに打ち取ったストレートは148キロを計測した。
阪神ファンならずとも、まだまだその勇姿を見ていたい選手のひとりである。
文=藤山剣(ふじやま・けん)