負ければ首位陥落となる8月24日の楽天戦。川島慶三に代わって1軍に昇格した江川は、7番レフトで即スタメン出場。0対0の7回裏に先制ホームランを放ち、チームを勝利に導いた。
今年の江川は開幕2軍スタート。1軍昇格も結果を残せず、6月2日に登録抹消し、この夏はウエスタン・リーグで若手とともに真っ黒になって汗を流してきた。
「今年は悔しいシーズンが続いていたが、腐らずやって本当によかった」とインタビューで語った江川。続くロッテとの3連戦でも2本のアーチを放ち、その存在をさらにグイグイアピールしている。
プロ12年で通算149安打、23本塁打(8月29日現在)の江川だが、好投手相手や大舞台で力を発揮するタイプだ。
プロ入り初安打は、西武のエース・松坂大輔(当時)から。プロ入り初打点も西武の西口文也(当時)から。本拠地でのデビュー戦では、広島の黒田博樹からタイムリーヒットを打ち、初のお立ち台に上がった。
プロ入り初本塁打は、元大リーガーの吉井理人(当時オリックス)から放ち、本拠地初本塁打の時の投手は、ダルビッシュ有(当時日本ハム)だった。
2014年にヤフオクドームで行われた侍ジャパンvs.ソフトバンク&日本ハム連合チームの壮行試合では、内川聖一、松田宣浩、今宮健太、柳田悠岐、中田翔、大谷翔平らが侍ジャパンのメンバーに名を連ねるなか、連合チームの4番・DHで出場。決勝タイムリーを放ち連合軍を勝利に導いた。侍ジャパンの壮行試合のはずが、まさかのヒーローとなってしまった。
「日によって好不調が激しい」と自己分析する江川だが、相手のエースや調子のよい投手から好打を放つことがあれば、絶好のチャンスに代打で出て凡打し、球場中をため息でいっぱいにさせたことも。
10月31日に30歳を迎える江川智晃。
20代最後のシーズンに「ホークスに江川あり」と、ガンガンアピールしてもらいたい。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。札幌で広告代理業を経営。ライター、MC、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。生まれも育ちも北海道なのに南海時代からのホークスファン。今一番の悩みは、ほぼファイターズファンしかいない北海道内での仕事やプライベートの場で野球の話が出ること。