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「野球は観たい人だけが観ればいい」でいいのか?【最終回】

 「野球芸人」4人目に登場するのは松村邦洋さん。
 熱狂的なタイガースファンとして有名な松村さんに、野球に目覚めた原点と野球愛を存分に語ってもらいました。全5回の短期連載、今回が最終回です。

コミュニケーションツールとしての野球

 こんにちは。松村邦洋です。
 今回で、僕の「野球芸人」も最終回です。最後は、これからの野球界に期待したいことをお話させていただきます。

 いきなり真面目な話になりますけど、ジャイアンツがリーグ優勝した時でも地上波での中継がないっていうのが寂しいですね。長嶋茂雄さんが監督の時はビールかけの会場からも生中継していたんですけど。まあ、CS放送やケーブルテレビでは全部中継しているわけですけど、今の時代、「野球は観たい人だけが観ればいい」という流れになっているのが寂しいですね。夢の遊眠社じゃないんでね。

 そういう意味では、もっともっと野球界を盛り上げるためにも、お客さんに喜んでもらえるような何かをしていくことも大切なんじゃないでしょうか。昔はやっぱり、大人の会話というか、年齢差が離れているおじさんと何を話せばいいだろう、という時に、野球が共通の話題になってくれたと思うんですよ。アイドルや芸能は世代によって好きな対象が分かれちゃうと思うんですけど、野球はひとつですから。コミュニケーションツールとして、野球の話ができるのが大事かなぁと思いますね。


女性や子供にもわかりやすい野球中継

 テレビだけじゃなく、ラジオの野球中継も完全に通な人向けというか、聴きたい人に聴いて欲しい、という流れになっていますよね。僕はもっと女性にわかりやすいように中継してもいいんじゃないかなって思います。

 例えば、「バッター、打ちました! 打ったらどうするかというと『一塁』というところに走ります。一塁に走ったら次は二塁、三塁と目指して、最後にはホームに帰ってきたら1点です」という実況。

 そもそも、野球のルールは当然知っているもの、という前提になっていますけど、それもおかしなことですからね。だからピッチングにしても、「今、ボールが曲がりましたね。これは『カーブ』ですね。スローで見てみましょう……曲がってますねぇ。ホームベース上を通ると『ストライク』で、通らないと『ボール』です。そしてボールが4つ貯まると『フォアボール』と言って、無条件で一塁に行くことができるんですね」という風に、女性や子供にもわかりやすい野球中継があってもいいんじゃないでしょうか。

 ほかにも、選手の生い立ち紹介をもっとやっていいと思うんです。「この選手は〇〇高校で4番を務めていました」とその当時の映像を流して、「そこから懸命の努力をして、今、一軍の打席に立っているんです。3年前にはケガをしたシーズンもありました」みたいに、ドキュメント風の中継にするのも面白いかもしれないですね。甲子園大会みたいに、地元商店街の映像が流れたりしてね。

 あとは、カッコイイ選手も増えてますから、お母さんに「今日はバラエティ番組じゃなくて野球が見たいわ」と思われるように「このチームで一番イケメンの選手は彼です」、「この選手は俳優の誰々に似てますよ」という中継やサービスがあってもいいと思います。

 とにかく、「わからないから観ない」っていうのは、「数学がわからないから勉強しない」と一緒で、すごくもったいない。「三回振ったら終わりですよ!」から始めてみてもいいんじゃないでしょうか。



松村邦洋(まつむらくにひろ)
1967年8月11日生まれ、山口県熊毛郡田布施町出身。太田プロダクション所属。学生時代からテレビ・ラジオ番組でモノマネを披露し、デビュー。ビートたけし、堺雅人、掛布雅之、達川光男ら数えきれないほどのモノマネレパートリーを誇り、リクエストされて瞬時に飛び出すモノマネ芸は、他の追随を許さない。レギュラー番組は『高田文夫のラジオ・ビバリー昼ズ』(金曜11:30〜13:00)(ニッポン放送)、『午後のまりやーじゅ』(水曜13:05〜16:55)(NHKラジオ第1)、『DJ日本史』(隔週月曜21:05〜21:55)(NHKラジオ第1)。

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