2008年のドラフト1位で東洋大から日本ハムに入団した大野は、今季まで9年間プレー。盗塁阻止率は2011年が.323、2013年が.421とリーグトップの数値をマークした経験もある強肩捕手だ。
打撃に関しては打率1割台が3シーズンあるように、安定感に欠けるところがある。しかし、昨季は打率.245と捕手としてはまずまずの数字。打撃を強化できれば、不動のレギュラーになれる可能性も十分ある。
長きに渡って正捕手を固定できていない中日にとって、実績がある大野の加入は、森監督が期待を寄せるようにチームにいい刺激をもたらすはずだ。
中日の背番号27といえば、2001年オフに横浜から中日にFA移籍し、兼任監督まで務めた谷繁元信のイメージが強い。
そのことについて大野はこうコメントしている。
「背番号27は日本ハム時代から付けていて、欲しいと思ってつけさせてもらった番号、そういった番号をいただけるということは光栄なことです。ドラゴンズでは谷繁さんが付けられていましたが、谷繁さんのようにドラゴンズを愛して、ドラゴンズのために戦っていける選手になりたいと思っているので、本当にうれしい番号だと思っています」(一部抜粋、原文ママ)
谷繁の域に達するのは簡単ではないが、目指す価値と意味のある存在であることは間違いない。
また、本人のコメントにもあったように、大野の出身地の岐阜県大垣市は、中日の本拠地・名古屋から40キロ程度と近いこともあって、大野は小さい頃からの中日ファン。
移籍前の球団は西武と日本ハムで違うが、同じく岐阜県出身の和田一浩は、2007年オフに幼少期からファンだった中日にFAで加入。チームの優勝に貢献した上、2000安打も達成した。和田は西武で11年間、中日で8年間プレーして通算2050安打を放ったが、その内訳は西武で1032安打、中日で1018安打とほぼ同じ。西武時代の2005年に首位打者を獲っている和田は、移籍先の中日でも変わらぬ打撃力でチームに貢献した。
谷繁や和田のように、FA移籍してきた大野がチームの中心選手として確固たる地位を築くようなら、来季こそ、2013年から続くBクラス地獄を脱出できるかもしれない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)