今夏の甲子園もいざ開幕。連載『高校野球名物監督列伝』の第4回は、スピンオフ企画として2019年夏、甲子園に登場する平成生まれの監督たちを紹介したい。
今大会の最年少監督は大分・藤蔭の竹下大雅監督。1992年、バリバリの平成生まれ。今年1月に原秀登監督が脳梗塞で倒れ、部長から昇格した。
「代打」ではあるが、監督急病の動揺、プレッシャーを乗り越え、大分大会・夏2連覇に導いた力は見事。佐賀学園、近畿大でプレーし、高校時代は甲子園でベスト16も経験。高校野球指導歴は2年だが、どんな采配を見せるのか注目が集まる。
國學院久我山の尾崎直輝監督は29歳。選手と間違えられるほど若々しいが、経験は豊富。高校時代は外野手だったが、故障で主務・学生コーチに転身。國學院大進学後も指導者を志し、母校でコーチを務めた。
2013年に監督になり、今年で7年目。高校時代からチームに携わり続ける。短い練習時間や限られたグラウンドなどの不利もあるが、尾崎監督にとってはそれが当たり前の環境。ゴミ拾いや選手の主体的思考など、メンタル面でも力をつけさせている。
飯山をノーシードからの戴冠に導いた吉池拓弥監督も20代の新鋭。現役時代は丸子修学館、大東文化大でプレーした。2017年に飯山に赴任し、部長を務めていたが、昨年10月に木村徹現部長と監督を交代。木村部長が3学年の主任に就くため、という公立らしい理由だった。
選手とともに練習でも汗を流す兄貴分。ムードメーカーの役割も担っており、押せ押せの攻撃的采配も特徴。甲子園でビッグイニングを作ることができるか。
母校の英雄が監督に…という漫画のようなルートを辿るのは、佐賀北の久保貴大監督。2007年に甲子園で「がばい旋風」を巻き起こし、全国制覇を成し遂げた「佐賀北のエース・久保」である。
高校卒業後は筑波大、社会人でプレー。指導者を志し、佐賀大大学院に入学。2016年より佐賀北に赴任した。監督1年目の昨夏は佐賀大会初戦敗退だったが、今夏は「がばい旋風」を再現。コツコツとバントを重ねる粘り強い攻撃で佐賀北の伝統を継承する。
文=落合初春(おちあい・もとはる)