週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

魔球・ワンシームを解禁した巨人・菅野智之。ストレートとのコンビネーションで打者を幻惑



 カットボールやワンシーム、ツーシームなど、近年の変化球の進化には目を見張るものがある。そんな現代のプロ野球界で異彩を放つ変化球を武器にする投手たちにクローズアップ!

 今回は魔球ワンシームを3年ぶりに解禁しエースからスーパーエースへと進化を遂げつつある菅野智之(巨人)に注目してみたい。


◎封印を解いた”ワンシーム”


 今季は、3、4月の月間MVPを受賞するなど順調な立ち上がりをみせた菅野。ストレートの球速が2キロほど上がり空振りを奪うことが増えた。これはオフに取り組んだ指先、腕まわりの強化が要因だと本人は語る。

 このストレートとの組み合わせで威力を発揮している変化球が、3年ぶりに解禁したのがワンシームだ。菅野はルーキーイヤーにワンシームを操っていたが制球が安定せず、2年目からは封印。しかし今シーズン、その封印を解いた。このワンシームで凡打に取り、球数を減らしたことで、長いイニングを投げられているのだ。

 エースであるからには、毎試合長い回を投げる必要がある。それを菅野はしっかりと背中でみせているのだ。


今年のテーマ“圧倒”



 菅野はストレートで圧倒することをテーマに掲げている。勝負球として意識しているのは、スライダーや封印を解いたワンシームではないのだ。

 菅野の理想はストレート、スライダー、ワンシームを同じフォーム、同じ軌道から投じること。その結果、ストレートのイメージを持っている打者は、スライダー、ワンシームに対応ができなくなってくるのだ。

 ストレートで圧倒できるからこそ、ストレートを意識した打者に対して変化球が生きる。今季の菅野のテーマの背景には、このような変化球への狙いが潜んでいる。


◎ワンシームとは?


 菅野が今季解禁したワンシームとはどういった変化球なのか。おさらいしてみたい。

 ワンシームという球種が日本で認識されるようになったのは、2010年頃にダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)が投げ始めたころからだろうか。ストレートと同じ球速で、最後に手元で沈み込むのがワンシームの変化だ。ストレートと見分けがつきにい分、空振りが取れ、凡打も増える。打者からするととてもやっかいな球なのだ。

 このワンシームは、菅野以外にも成瀬善久(ヤクルト)、山口俊(DeNA)などが今季から取り入れている。多くの投手が使うことで昨年の“フロントドア”、“バックドア”に続き流行するかもしれない。


 オールスターのファン投票で初めて1位を獲得。ファンからの信頼も厚くなった菅野。圧倒するストレート、そしてワンシームでオールスター、後半戦も野球ファンを楽しませてほしい。


文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方