現役通算最多となる156個の白星を積み重ねている石川。2001年のドラフト自由枠で青山学院大からヤクルトに入団。ルーキーイヤーから12勝(8敗)をマークし新人王を獲得すると、昨シーズンまで安定した成績を残し、2ケタ勝利は数えること11回。公称167センチと小柄な体ながら16年投げ続け、「小さな大投手」と呼ばれている。
しかし、優勝を遂げた2015年に13勝(9敗)をマークして以降低迷している。昨シーズンは通算150勝を達成したものの故障による離脱もあり8勝(8敗)どまり。今シーズンはここまで11連敗を含む14敗。7月8日の広島に敗戦した後は涙を浮かべるほど、状況は深刻だ。
1980年1月生まれの37歳という年齢からしても、そろそろエースを務め続けるには荷が重くなってきたことは想像に難くない。
石川の定番ポーズとしてお馴染みなのはマウンド上での「ロジンバッグ吹き」だが、近い将来、あの粉が舞い上がる様が見られなくなるかもしれない。そう思うとヤクルトファンの筆者には寂しいものがある。しかし一方で、チーム力アップのためにも、最年長の石川から名実ともにエースを奪う投手が現れることに期待したい。
石川と並び長らくヤクルトの投手陣を支えてきたのが館山昌平だ。「松坂世代」の1980年生まれの館山は日大藤沢高から日本大へ進学。大学時代は村田修一(巨人)、大野隆司(元・ソフトバンク)、堤内健(元・横浜)らと切磋琢磨した。
2002年のドラフト3巡目でヤクルトに入団後は、2008年から2012年まで5年連続2ケタ勝利。度重なる故障と手術にも負けず、2015年に復活。カムバック賞を受賞し14年ぶりのリーグ優勝に貢献した。
しかし、昨シーズンはわずか1勝(4敗)に終わり、防御率7.24と低迷。今シーズンの復活を期したが、ここまで1軍では2試合に登板して0勝1敗、防御率12.00の成績で6月に登録抹消。2軍では13試合で5勝3敗、防御率3.58と一定の成績を残しているものの1軍昇格は見送られている。
2015年オフに3年契約を結んでおり、来シーズンが契約最終年度。幾度となく復活を遂げてきた「不死鳥」館山の来シーズンに期待したい。
石川、館山につぐ年長者は中継ぎとして活躍する松岡健一だ。入団4年目の2008年から中継ぎに転向すると、2012年を除き毎年30試合以上に登板。今シーズンもここまでで、すでに32試合に登板しており、まさにブルペンの柱となっている。
近年は、開幕から勝利の方程式の一角に組み込まれることは少なくなった。しかし、故障者が出るなどチーム事情に応じて、一時的に勝ち継投を任されることもある頼れるベテランだ。これからも、伊藤智仁(現ヤクルト投手コーチ)から継承した背番号「21」を守り抜き、引退まで完全燃焼を期待したい。
低迷が続くヤクルト。真中満監督の退任も決まり、来シーズンはスタッフも刷新されることだろう。そのなかで、投手陣の再建も進められるに違いない。
チームを支えてきたベテランには敬意を払いつつも、若手が追いつき、追い越していかないことには「再建」は見えてこない。
(成績は9月13日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)