ヤクルトの小川泰弘が、8月31日の巨人戦に先発し9回を5安打無失点と完璧なピッチングを披露。勝利に大きく貢献した。
ヒーローインタビューでは、「ピンチはけっこうあったんですが、粘り強さを出せた」と、勝因を分析。さらに「チーム一丸となって頑張っていきたい」とも語り、この日の勝利で3位のDeNAに1.5ゲーム差と迫ったCS進出へ意欲を見せた。
これで8月は5試合に登板し4勝(残る1試合は勝敗つかず)。ほかのセ・リーグの4勝以上は、小川と同様に5試合に登板し4勝のジョンソン(広島)のみ。
ただ、4勝のうち3勝を完投で挙げている小川に対して、ジョンソンの4勝は3試合が6回までの投球で、もう1試合も7回まで。小川のほうが勝利への貢献度は高いだけに、月間MVPの有力候補と言っていいだろう。
ちなみに、小川は昨年も7月後半から9月にかけて6連勝を記録している。
小川にとって完封勝利は5度目。そして、8月17日のDeNA戦、24日の中日戦に続く3試合連続の完投勝利となった。連続完投勝利の日本記録は、「ミスター完投」こと斎藤雅樹(現・巨人2軍監督)が1989年に達成した11試合。当時よりも投手の分業化がいっそう進んでいるだけに、もはや近づくことすら難しい大記録だ。
ただ、ヤクルトの場合、リリーフ陣に昨年ほどの厚みがないので、先発投手に「いけるなら最後までいってほしい」という状況が生まれやすいかもしれない。
いずれにしても、打線にケガ人が続出しなからCS進出に手が届くところまで追い上げてきたヤクルト。小川が連続完投勝利記録を伸ばすようなら3位奪取に大きく近づくことになる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)