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プロ野球選手に肉体改造は必要か? トレーニングで巨大化した選手たちの過去と現在を振り返る

「デブの時代がやってきた」と題して、ぽっちゃり体型選手とよばれる選手たちの活躍を紹介してきたこのコーナー。

 今回は重量級選手のなかでも、いわゆる「肉体改造」によって、大型化した選手を紹介しよう。
(成績は5月20日現在)

答えを出すのはまだ早い! 大谷翔平の体重増加


 昨季オフから、ダルビッシュ有(レンジャーズ・196センチ100キロ)の助言を受けて、肉体改造に励んだ大谷翔平(日本ハム・193センチ92キロ)。あきらかにひと回り大きくなった体で、今季を迎えている。

 大谷の公称体重は92キロ。しかし、春のキャンプには100キロ超で登場。食事療法やトレーニングで鍛え抜き「巨漢」となった大谷は、野手で出場した5試合連続アーチを含む8本塁打と、打撃面ではパワーアップしたところを見せつけている。


 ところが、投手としては1勝4敗、防御率3.34と、大谷にしては物足りない数字だと思うファンも多いだろう。

 これに対してダルビッシュはtwitter上で、ファンとやり取り。「まだ6月にも入ってないので何が良かった、ダメだったと判断するにはあまりにも早すぎると思う」という趣旨の見解を示し、「良くない時ほど、頭のいい選手は引き出しを増やすことができる」と、大谷にエールをおくっている。

 5月22日の楽天戦では、先発して今季2勝目を挙げた大谷。肉体改造が投手・大谷にどのような変化をもたらしたのか、結論を出すのは、まだ早いかもしれない。


筋肉といえば澤村拓一!


 球界の「筋肉マン」といえば、澤村拓一(巨人・184センチ101キロ)をおいて他にはいない。澤村はルーキーイヤーとなる2011年オフ、これまたダルビッシュとトレーニングをともにして肉体改造を断行した。


 キャンプイン直後には「筋肉が動きを獲得し始めている」と、迷言を発して、筋肉増加を投球フォームに落とし込むことに成功。体重90キロから96キロへと、6キロ増量した澤村は、2年目のジンクスをものともせず2ケタ勝利をマークした。

 その後も2014年は99キロ、2016年には101キロと、澤村はさらなる体重増加を図っている。今季も3勝11Sと結果を残しているのは、肉体改造の成果といえるだろう。

元祖肉体改造“清原和博”


 そもそも「肉体改造」という名をプロ野球に広めたのは、清原和博(元巨人など)であることに異論を唱えるファンは少ないだろう。

 2000年を境に、ケビン山崎氏と契約を結び、科学的トレーニングに励んだ清原。米国・シアトルで本格的なトレーニングを開始して「NFL選手並み」と、ケビン山崎氏に言わしめるほどのパワー獲得に成功した。

 当時は188センチ93キロの体躯を誇っていた清原。トレーニング前後の成績は以下の通り。

【肉体改造前】

1999年(32歳)
86試合/打率.236/13本塁打

【肉体改造後】

2000年(33歳)
75試合/打率.296/16本塁打

2001年(34歳)
134試合/打率.298/29本塁打

2002年(35歳)
55試合/打率.318/12本塁打

2003年(36歳)
114試合/打率.290/26本塁打

 本塁打はあきらかに増えて、打率も向上。しかし、肉体改造の影響で体重が増え、ケガも多くなったことは否めない。




 過度な肉体改造は諸刃の剣だ。肉体改造によって大型化した選手は、ケガをする危険と隣り合わせ。一般的に体重が増えるとヒザに負担がかかり、故障の原因となるといわれる。球界にも当てはまるケースは多い。

 清原のほか、阿部慎之助(巨人・180センチ97キロ)、松井秀喜(元ヤンキースほか・188センチ95キロ)がそうだ。大谷、澤村は当然、ヒザを含めた下半身強化も同時に行っていると思われるが、それでも故障に気をつけて、意図する大型化を成功させてほしいところだ。


 さて、次回で「デブ特集」も最終回。ここにきて「デブの時代」にふさわしい、超大型選手ジェフェット・アマダー(楽天・193センチ135キロ)がベールを脱ぎそうだ。はたして本連載に間に合うのだろうか。最終回は乞うご期待。


文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中。

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