年が変わったことで、個人記録へ向けての気持ちを新たにしている選手も多いことだろう。今季中に大台に到達しそうな選手とその記録をピックアップしてみた。まずは投手編だ。
昨季は股関節の手術によりシーズンのほとんどを棒に振ったサファテ(ソフトバンク)。これまで歴代4位の234セーブを挙げており、あと16セーブで名球会入りとなる250セーブに到達する。
ちなみに、3位は佐々木主浩(元横浜ほか)の252セーブ(MLBで129セーブ)、2位が高津臣吾(元ヤクルトほか)の286セーブ(MLBほかで61セーブ)で、NPB記録でいうと佐々木との差は18、高津との差は52。サファテは、2017年に54セーブ(日本記録)をマークしているだけに、今季中に両者の数字を上回ることも考えられる。そうなると、数年後には歴代1位・岩瀬仁紀の407セーブも視野に入ってくる。
手術箇所は順調に回復しているようで、春季キャンプにも合流できそうな見込みだ。開幕から唸るような速球が見られるようなら、大きく数字を伸ばすことだろう。
同じことが、ここまで225セーブ(MLBでは2セーブ)の藤川球児(阪神)にも言える。昨年12月の契約更改後の会見では「クローザーにチャレンジしたい」と語っており、今季からチームを率いる矢野燿大新監督も、それを肯定するプランを明かしている。
ここ2年、阪神のクローザーを務めているドリスの昨季の防御率が2.85(53回2/3)だったのに対し、藤川はそれを上回る2.32(54回1/3)だった。かつての絶対守護神がその座に返り咲き、セーブを量産する日がくるかもしれない。
今季、200勝到達の可能性がある投手はほぼいない(現役最多は石川雅規[ヤクルト]の163勝、日米通算なら松坂大輔[中日]の170勝)。投手部門で今季中に名球会入りがあり得るのは、このサファテと藤川の2人のみと考えていいだろう。
昨季までで95勝。外国人投手の通算勝利数ランキング6位につけているのがメッセンジャー(阪神)だ。
あと5勝で大台到達となるが、過去にジャスト100勝はスタンカ(元南海ほか)とバッキー(元阪神ほか)がいる。6勝を上乗せし101勝した時点で4位に、さらに106勝の郭源治(元中日)を抜けば3位まで浮上する。
なお、2位は郭泰源(元西武)の117勝、1位はスタルヒン(元巨人ほか)で303勝。今季22勝で郭泰源に並ぶ。メッセンジャーのキャリアハイは13勝なので簡単ではないだろうが、ケガさえなければ年間30試合近くの登板は可能。猛虎打線が復活し、しっかり援護がもらえれば不可能ではないかもしれない!?
細かな条件はあるが、ざっくり言うと、勝ち、または同点の試合展開でマウンドに上がり、その状態を保ったまま次の投手に引き継いだ回数をカウントするのがホールド。集計が正式にスタートしたのが2005年ということで、昭和のレジェンドたちは入ってない。
このホールドの歴代最多記録を持っているのが宮西尚生(日本ハム)で、重ねた数字はここまで294。2位の山口鉄也(元巨人、273ホールド)、3位の浅尾拓也(元中日、200ホールド)がいずれも昨季限りでユニフォームを脱いだため、宮西に次ぐ現役投手は166ホールドのマシソン(巨人)。道なき道を独走しているのが宮西なのである。
11月に「左肘骨棘(こつきょく)滑膜(かつまく)切除」の手術を受けたが、すでにキャッチボールを開始しており、開幕に大きく遅れることはないだろう。昨季は37ホールドを挙げている宮西だけに、あと6となっている300ホールドは、今季前半戦には達成されそうだ。
現役最多の通算被安打数2870を喫しているのが石川雅規(ヤクルト)だ。あと130本ヒットを打たれると、過去に16人しか達成していない3000被安打となる。ここ3年は、126、149、121という数字なので名誉とは言い難いが、今季中に区切りの数字まで届いても不思議はない。
昨季までの17年のキャリアの中で、年間のリーグ最多被安打を5回獲得している石川。勝利やセーブ、奪三振などと違って、少ないほうがいいのが被安打ではあるが、打たせて取るスタイルの投手なので、ある程度は仕方がないところか。また、通算被安打数が多いのも、それだけ長くマウンドに立ち続けてきた証でもある。
現在、歴代20位で、19位は同じヤクルトの先輩の松岡弘(2939被安打)。まずはここを目指す(?)ことになる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)