連覇をアシストした打撃コーチ・石井琢朗、外野守備走塁コーチ・河田雄祐の両コーチが抜けた広島は新たな船出。1軍打撃は東出輝裕、迎祐一郎の両コーチが引き続き務め、新たな補充はなし。
注目は三塁ベースコーチ。ここ数年は河田コーチがグルングルン腕を回し、積極走塁の旗印になっていたが、来季は、一塁からの配置転換が確実視される玉木朋孝コーチの手腕に注目したい。
外野守備走塁には廣瀬純コーチが就任。現役時代は外野守備に定評があり、引退1年目の今年は解説者としても人気を集めた。38歳の若き指導者が加わり、広島コーチ陣はさらにフレッシュとなった。
阪神のコーチ陣も若返りが進んでいる。2軍新監督に矢野燿大・前作戦兼バッテリーコーチが就任し、今季引退した安藤優也、新井良太の両氏がそのまま2軍育成コーチに就任した。
1軍に新入閣したのは山田勝彦バッテリーコーチ。正捕手育成のキーマンになる。
万永貴司・1軍内野守備走塁コーチが2軍監督に配置転換。2軍では中日に武者修行に出ていた嶋村一輝氏が打撃コーチ、川村丈夫氏が投手コーチ、新沼慎二氏がバッテリーコーチに復帰。大家友和氏も2軍投手コーチに就任し、若手育成に重点を置いた新陳代謝を施した。
Bクラスからの巻き返しを期す巨人は大幅に体制を刷新。1軍打撃総合コーチに2011年以来の復帰の吉村禎章氏を据え、小関竜也・2軍打撃コーチは1軍に配置転換。二岡智宏打撃コーチとの3枚体制で打線再興を目指す。1軍投手コーチは斎藤雅樹(総合投手コーチ)、豊田清の両氏が務める。
斎藤コーチが2軍監督から配置転換したことにともない、川相昌弘・3軍監督が2軍監督に昇格。「鬼の川相」と恐れられた猛練習でヤングジャイアンツを鍛え上げる。
3軍監督には江藤智・1軍打撃コーチが就任。そのほか今季限りで引退した片岡治大氏が2軍内野守備走塁コーチ、松本哲也氏が3軍外野総合コーチに就任した。
中日はコーチ陣も若返り路線。引退した森野将彦氏が打撃コーチに就任したほか、岩瀬仁紀、荒木雅博が選手兼コーチに。投手コーチには都裕次郎氏がスカウト、スコアラーを経て2003年以来の指導者復帰。30歳の岩田慎司氏も2軍投手コーチに就任する見込みだ。
ただ、1軍と2軍の振り分けはまだ発表されておらず、内部の調整の難しさが垣間見える。
ヤクルトは壁をぶち破り、なりふり構わぬ進化の方針を示した。まずは広島から石井琢朗・打撃コーチ、河田雄祐・外野守備走塁コーチが加入。広島を常勝軍団に押し上げた両コーチが新天地で反撃の狼煙を上げる。広島にとってはやっかいな敵になりそうだ。
将来の監督候補といわれる宮本慎也氏も1軍ヘッドコーチに就任。満を持して指導者生活をスタートさせる。
隠れたキーマンは1軍投手コーチに就任した田畑一也氏。2012年から今季途中まで巨人の投手コーチを歴任し、安定した投手陣を築いた。巨人ではブルペン担当が多かったが、ヤクルトではチーフ格になりそう。「野村再生工場」で躍進を遂げた自身のように崩壊した投手陣を復活させたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)