今季から新たにタクトを握る4人の新監督たち。開幕からここまでの戦い方、采配などをチェックしてみたい。
第三次政権で「新監督」感は薄い。手慣れた采配でスタートダッシュに華麗に成功し、経験の差を見せつけているのは、原辰徳監督だ。
なんといっても打線の組み方がダイナミックだ。開幕前には「2番・丸佳浩」の構想を掲げていたが、こだわり過ぎずに「2番・坂本勇人」の布陣を考案。1番に抜擢した吉川尚輝も打ちまくった。
しかし、吉川尚輝が腰痛で離脱。田中俊太や吉川大幾を起用したが、しっくりこないと見るや、わずか3試合で「坂丸コンビ」を一つ前にずらし、1番・坂本勇人、2番・丸佳浩の打順に。3番に好調のビヤヌエバを入れてくるあたりもうますぎる…!
投手采配も活発な世代交代に動いており、中川皓太、宮國椋丞、戸根千明らが出番を増やしている。守護神のクックが離脱したものの、中川皓太を代役に据えるなど、フットワークが軽い。原采配は明らかに凄みを増している。
下馬評を覆し、そこそこ好調なスタートを決めた中日。与田剛監督の打線の組み方も面白い。開幕戦では京田陽太や福田永将を外し、5番に堂上直倫を起用する斬新なオーダーでファンを大いに(?)心配させたが、調子を見極めた采配で結果的には悪くなかった。
特にこだわっているのは、高橋周平の「6番・三塁」というポジションだろう。20試合終了時点で、19試合で高橋が6番・三塁。1試合だけ大島洋平が6番で高橋が5番というオーダーもあったが、好調でも安易に5番に上げずに据え置くのが、基本方針のようだ。
高橋が三塁に入ることによって、昨季は余剰戦力になった二塁のサブからも生きのいい選手が出てきている。特に阿部寿樹は打撃好調だ。確かに高橋を二塁に据えると、サブの選択肢は福田だけになる。今季、その福田は左翼でアルモンテと競争中。二塁と左翼にしっかりと競争の場を作り出した。もっと言えば、遊撃の京田だって安泰ではない。
投手陣は好不調の差があるが、与田監督の色を出せている。1046日ぶりに貯金を作った手腕は認めざるを得ない。
早くも「監督もフロントも去れ」などと辛辣な声も飛び交っている阪神。
まず、打線の色が見えてこない。開幕5戦目で1番・木浪聖也をやめたのが象徴的だろう。確かに木浪は少しプロの球に対応できていない場面も目立つが、ならばなぜ開幕スタメンで起用したのか。結局、北條史也や鳥谷敬を使い始め、誰も調子が上がってこない。
また打撃好調の梅野隆太郎もなかなか打順を上げなかった。結局、8番から7番、そして6番、福留孝介の休養日には、5番にまで打順を上げたが、サッと手を打っていれば、流れを呼び込めた可能性もある。
マルテの代役に指名したナバーロもイマイチだった。スタメンがコロコロ変わるが、フットワークが軽い采配には見えない。そもそも戦力が整っていないため、采配云々以前の問題。矢野監督ももどかしい思いだろう。「矢野阪神が何たるか」の発信が必要だろう。調子の上がってきた近本光司を看板にしたい。
ベンチの雰囲気は悪くないのだが……。
開幕からやや不調のオリックスだが、西村徳文監督は粘り強く育成している印象だ。高卒2年目の西浦颯大や大卒ルーキーの頓宮裕真を開幕スタメンに抜擢。両者ともに「まだまだ」と言いたくなる面もあるのだが、辛抱強く起用を続けている。
またメネセスが不振で抜けると、未完の大砲・杉本裕太郎をまさかの4番起用。1試合2発をぶちかました。その後、杉本はやや息切れしたものの、起用にメッセージ性がある。
山本由伸、榊原翼など、開幕前から期待した若手投手がしっかりと結果を残しているのも嬉しい。
ただメッセージ性だけで終わってしまうことが、ここ数年のオリックスの課題。若手の重用がいい結果につながらなかったケースは他球団を含めて多い。西浦や頓宮の起用が正解だったのか。これこそが西村監督の目が評価されるポイント。育成の姿勢は見えた。夏場以降に再検証してみたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)