大累は1990年札幌市生まれの25歳。中学時代は札幌新琴似リトルシニアに所属し、中学卒業後は駒大苫小牧高に進学。“駒苫”では田中将大(現ヤンキース)が2学年上で、2006年は引き分け再試合で準優勝。翌春も甲子園に出場したものの、1年生の大累はベンチ入りすることができなかった。
主力となった3年の夏には、南北海道大会のベスト8まで勝ち上がるも、北海高のエース・鍵谷陽平(現日本ハム)の前に完封で敗れ、甲子園出場は果たせなかった。
高校卒業後は道都大に進み、1年生からベンチ入り。大学時代の大累は1番を打つことが多く、ヒットを打つとすぐ次の塁を狙う、相手から見るといやらしい選手だった。
大累が在学中に道都大は春秋合わせて5回の優勝。全日本大学野球選手権には3回出場し、4年の秋にはリーグの首位打者も獲得した。そして、ドラフトで巨人から2位指名された。
新入団会見では、実家で飼っている犬より速いと公言。その俊足に期待が集まるも、巨人では1軍出場は2試合のみ。
2軍では3年間で273試合に出場。21盗塁を決めるも盗塁死も17。持ち味を生かしきれない状態だった大累にとって、このトレードは大きなチャンスといえる。
日本ハム移籍後の4月16日、鎌ケ谷スタジアムで行われたイースタン・リーグの西武戦で、大累は9回に代走で出場。そのままセカンドに入り、延長10回に打席が回ったが三振に終わった。そして、この1試合の実績だけで19日には1軍昇格が決定。故障者が多いファイターズ野手陣の起爆剤として期待されているようだ。
ちなみに同じ日、一緒に1軍に昇格したのが米野智人。北海道出身で札幌新琴似リトルシニアの先輩にあたる。さらに1軍には、高校3年の夏に対戦した鍵谷陽平もいる。東京農業大北海道オホーツクから今季入団した井口和明も、貴重な中継ぎ右腕として活躍中だ。
1人また1人と道産子選手が増殖中の日本ハム。彼らの活躍が、チーム浮上のきっかになることを期待したい。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。ライターとしてこれまで野球、サッカー、競馬、プロレス、アイスホッケーなどさまざまなスポーツを取材。なかでも野球は趣味と実益を兼ねてプロアマ問わず各地で観戦。ちなみに今一番気になっているアマチュア選手は、投手兼内野手の息子(小学6年)という親バカでもある。