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大量指名を受けた独立リーガーたち! プロ野球界での活躍に暗雲が…


存在感を示すハングリー精神を持つ男たち


 近年、躍進の目立つ独立リーグ出身の選手たち。

 2006年に四国アイランドリーグ(以下、四国IL)高知ファイティングドッグスからドラフト7巡目でロッテ入りを果たした角中勝也は、2012年に首位打者を獲得。2013年に四国IL・香川オリーブガイナーズからドラフト2位で中日に入団した又吉克樹は、ルーキーイヤーから勝利の方程式に食い込んでいる。

 2015年のドラフトでは巨人が3軍創設に伴い、7人の独立リーガーを指名(香川・松澤裕介は入団辞退)。球界全体では、過去最多の12名の選手が指名された。

 飛躍が期待されるルーキーたちの、昨季の独立リーグ成績はどうだったのだろうか?(年齢は今年末の時点)

【西武】10位:松本直晃
(投手・右投右打・26歳)
≪四国IL・香川オリーブガイナーズ≫
41登板/4勝1敗6セーブ/防1.00
72.0回/奪三振64/与四死23


【ロッテ】育成1位:大木貴将
(内野手・右投左打・25歳)
≪四国IL・香川オリーブガイナーズ≫
68試合/打率.327/0本/12打点/43盗塁
★2015年四国IL首位打者&盗塁王


【オリックス】育成2位:赤松幸輔
(捕手・右投右打・24歳)
≪四国IL・香川オリーブガイナーズ≫
64試合/打率.276/9本/37打点/1盗塁
★2015年四国IL前期MVP


【中日】育成2位:吉田嵩
(投手・右投右打・20歳)
≪四国IL・徳島インディゴソック≫
18登板/5勝4敗/防2.16
96.1回/奪三振60/与四死24


【中日】育成3位:三ツ間卓也
(投手・右投右打・24歳)
≪BCL・武蔵ヒートベアーズ≫
51登板/1勝4敗20S/防4.41
51.0回/奪三振60/与四死33
★2015年BCL 最多セーブ(リーグ歴代記録)


【巨人】育成1位:増田大輝
(内野手・右投右打・23歳)
≪四国IL・徳島インディゴソックス≫
67試合/打率.209/1本/14打点/18盗塁


【巨人】育成2位:小林大誠
(捕手・右投右打・22歳)
≪BCL・武蔵ヒートベアーズ≫
60試合/打率.222/0本/20打点/0盗塁


【巨人】育成4位:田島洸成
(内野手・右投左打・20歳)
≪BCL・武蔵ヒートベアーズ≫
63試合/打率.188/1本/18打点/4盗塁


【巨人】育成5位:大竹秀義
(投手/右投右打/28歳)
≪BCL・武蔵ヒートベアーズ≫
4登板/0勝1敗/防13.50
4.0回/奪三振5/与四死4
※夏場まで米独立でプレー


【巨人】育成7位:矢島陽平
(投手/右投右打/26歳)
≪BCL・武蔵ヒートベアーズ≫
53登板/2勝1敗/防1.16
54.1回/奪三振44/与四死16


【巨人】育成8位:長谷川潤
(投手/右投右打/25歳)
≪BCL・石川ミリオンスターズ≫
17登板/4勝9敗/防4.33
95.2回/奪三振64/与四死27


巨人に問われる「ドラフトの意義」


 一覧して見ると、堂々たる成績を残した選手もいるが、正直言って微妙な成績の選手もいる。忌憚なく言えば、巨人に指名された選手たちだ。

 3軍を創設するとはいえ、矢島を除けば、あまりにも期待が持てるとは言い難い成績である。年齢的にも将来性があるか、と言われればそうでもない。

 巨人は過去にもBCリーグから3選手を指名している。2009年に信濃グランセローズから育成1位で獲得した星野真澄はルーキーイヤーに34登板を果たしたが、その後、出場機会を失い2014年に引退。

 2011年に育成5位と6位で獲得した雨宮敬、渡辺貴洋はすでに戦力外で独立リーグに復帰している。彼らのBCリーグ最終年の成績を見てみよう。


星野真澄(2009年・信濃グランセローズ)

36登板/8勝8敗3セーブ/防2.82
153.1回/奪三振128/与四死45

雨宮敬(2011年・新潟アルビレックスBC)

33登板/11勝2敗1セーブ/防1.79
120.2回/奪三振61/与四死28

渡辺貴洋(2011年・新潟アルビレックスBC)

23登板/7勝2敗/防1.94
78.2回/奪三振55/与四死52


 かなりの好成績である。これだけの成績を残した選手でも志半ばでNPBを去った事実を鑑みると、野球は数字だけではないとはいえ、どうにも昨年の大量獲得には疑問を抱かざるを得ない。

 選手のセカンドキャリアなども問題になっている今、3軍創設の青写真だけではドラフトの制度に歪みを生みかねない。果たして彼らが1軍で活躍するビジョンはあるのか。それとも育成によほどの自信があるのか。

 しかし、指名された選手たちに罪はない。プロのスカウトが「伸びしろがある」と判断したのだから、ポテンシャルは秘めているに違いない。これからもハングリー精神を持って努力を続け、本稿の疑問を吹き飛ばすような大化け、活躍を見せてほしい!

 そして彼らが「試合のメンツ」ではなく、1軍の戦力になったとき、「育成の巨人」はさらに大きくなるに違いない。彼らの今後の成長に注目していきたい。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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