今季のDeNAの主砲が筒香嘉智(=写真)であることに異論はないだろう。本塁打と打点の二冠を獲得し、プロ野球界を代表するバッターとなった。では、1998年のベイスターズの主砲は誰だったのか?
1998年の打線が「マシンガン打線」と呼ばれた由縁は、連打、連打で繋がる打線だったからだ。つまり、大砲に依存する打線ではなかったということだ。
1998年の4番打者はローズ(=写真)。シーズン打率は.325と、ハイアベレージを保ちヒットを量産した。本塁打は19本ながら、勝負どころで確実にヒットを放ち、ランナーを還した。逆に、今季の筒香は4番打者らしい「一発」で仕留めたシーンが目立った。
1998年の打線で3番に座ることが多かった鈴木尚典。打率.337で首位打者となり、マシンガン打線の要を担った。
今季の打線は組み替えがあったものの、鈴木尚に匹敵する2016年の3番打者を比較対象として挙げるとすると梶谷隆幸になるだろう。鈴木尚ほどのハイアベレージヒッターではないが、今季はパワーを兼ね備えたバッティングを見せた。また、CSでは負傷を負いながらチームをけん引。CSで繰り広げた熱い戦いを象徴する存在となった。
1998年の5番打者といえば駒田徳広だ。巨人でのルーキー時代から「満塁男」と呼ばれ、稀代の勝負強さを誇った駒田は横浜でも持ち前の勝負強さを発揮。本塁打こそ少なかったものの、多くの打点を挙げた。
駒田に対する2016年の5番打者として挙げたいのはロペス。打率は.263で、1998年の駒田の打率.281には若干劣るものの、本塁打では34本のアーチを描いた。筒香の調子が落ちたときには、それを補う働きを見せ、CS進出に貢献した。
今季、ブレイクした打者といえば倉本寿彦、桑原将志、宮崎敏郎。とくに桑原は「ハマの核弾頭」として活躍した波留敏夫(現・中日コーチ)を思い起こさせる逸材に成長した。攻守にわたるガッツあふれるプレーと愛されるキャラでチームに欠かせない存在となりつつある。
ようやく優勝争いに加わるチームとなったDeNA。1998年の横浜に比べればまだまだ発展途上だが、若手が育った今季を見れば、来季の優勝争いに顔を出すことは間違いないだろう。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)